没後20年となる俳優・渥美清さん(享年68)の命日の4日、代表シリーズ「男はつらいよ」の第1作(69年)の上映会が都内で開催された。上映前のトークショーには山田洋次監督(84)を始め、倍賞千恵子(75)前田吟(72)佐藤蛾次郎(71)とゆかりのメンバーが顔をそろえた。

 山田監督は「そもそも会社(松竹)は大反対の企画だった。試写室でも笑いひとつ起きない。僕は落ち込んだし、会社は絶望していたと思う。それが劇場では爆笑が起きた。僕が一番びっくりした」とシリーズ開始当時の秘話を明かした。

 倍賞は「実は監督の見えないところで、渥美さんはいつも本番前にイタズラのように笑わせるんです。我慢するのがたいへんだった。渥美さんの面白さは格別だった」と振り返る。

 前田も「渥美さんはじっとしていても何百メートルも走ってきたように息を荒くできたし、僕らが懸命にやることをさりげなくやってのけた。すごい人でした」と当時の驚きを語った。

 また、山田監督はこの日結婚を発表した妻夫木聡(35)には「おめでとう。良かったね」とエールを送り、妻夫木も出演する来年初夏公開の新作「家族はつらいよ2(仮題)」の製作も合わせて発表された。