肺炎などで入院していた桂歌丸(80)が18日、東京・日比谷シアタークリエ「春風亭小朝のクリエで落語」で2カ月ぶりに高座復帰した。

 板付きで登場した歌丸の背後には酸素ボンベが置かれ、鼻には酸素吸入のチューブが挿入されていた。「これがないと呼吸が苦しくて、噺ができないんです」と釈明したが、高座ではマクラの口調もしっかりとしていて、鶴の名前の由来を珍解説する「つる」を約20分演じて、ファンを喜ばせ、そして安心させた。

 終演後、車で帰宅した歌丸は、待ち構えた報道陣に「久しぶりの高座はどうでしたか」と聞かれると、「苦しかった」と顔をしかめた。酸素吸入をしながらの高座だが、呼吸はまだ苦しいというのが正直な感想のようだ。

 今月下旬には会長を務める落語芸術協会の総会があり、歌丸の会長留任が決まりそうだ。桂文治の死去を受けて、04年に5代目会長に就任してから13年という長期政権になっている。副会長に三遊亭小遊三、理事には春風亭昇太という「笑点」メンバーがいるが、「元気なうちは会長を続けてほしい」という向きが多数派を占めている。

 いるだけで、誰もが安心でき、周囲もピリッと引き締まる。そういう存在が少なくなった今、病気がちで、体重も36キロ前後と小さな体だが、その存在感はますます大きくなっている。