東京・歌舞伎座「団菊祭五月大歌舞伎」が2日、初日を迎えた。

 夜の部「弁天娘女男白浪」では、尾上菊五郎(75)が当たり役の弁天小僧菊之助を5年ぶりに務め、孫の寺嶋眞秀(まほろ)君(5)が丁稚長松役で出演した。

 眞秀くんは2年連続の「団菊祭」出演。昨年の「魚屋宗五郎」では、菊五郎との芝居のからみはなかったが、今回はせりふのやりとりがある上、呉服屋の店先でぞうりをそろえたり、お茶を出したりと、何度も出番があり、顔を見せるたびに歓声が起こった。

 ロビーでは、母で女優寺島しのぶ、父でアートディレクターのローラン・グナシアさんがそろってあいさつする姿があった。

 菊五郎が演じる弁天小僧は、女を装って金を取ろうとするが、うそが露見して男に戻るのが見せ場の1つ。菊五郎は「野球の大谷翔平選手じゃないですが、究極の、いまはやりの二刀流のような役です。年齢によっても気を付けることが違い、これで完成品とはいきません」と話している。

 弁天小僧の名ぜりふ「知らざあ言って聞かせやしょう」が出ると、「待ってました!」と多くの声が掛かった。

 「団菊祭」は、明治時代に活躍した9代目市川団十郎、5代目尾上菊五郎をたたえる恒例興行で、今年は5年前に亡くなった12代目団十郎さんをしのぶ公演となっている。

 昼の部は、市川海老蔵らが5役を務める「雷神不動北山桜」、中村時蔵らによる「女伊達」、夜の部は「弁天娘-」のほか、尾上松緑らによる「鬼一法眼三略巻 菊畑」、尾上菊之助が喜撰(きせん)法師を初役で務める「喜撰」。26日まで。