11月も半ばになった。冬が来れば、やってくるのが漫才日本一決定戦M-1グランプリ。今年も3回戦が終わり、準々決勝がもうすぐ始まる。

8日に東京・新宿のルミネtheよしもとに行って、3回戦を見てきた。ジャニーズの4人組アイドルグループ、ふぉ~ゆ~の福田悠太(32)と辰巳雄大(32)が「つ~ゆ~」として出演したからだ。

参加したのは41組。どうせならと採点しながら見た。ミキ、天竺鼠、カミナリといった決勝進出経験のあるコンビは、ある意味余裕のステージ。軽いネタでも、観客から笑いが巻き起こった。

面白かったのが与太郎、放課後ハートビート、くらげ、井下好井、錦鯉。出演順を印刷してある紙切れに◎が書いてある。ネタを思い出せるコンビもあれば、出てこないコンビもある。年を取ったのだからしょうがない(笑い)。

あくまで個人的感想だが、抜けて面白かったのが囲碁将棋だ。M-1には吉本の養成所NSC在籍中の03年から挑戦しているが、結成は04年。参加規定が結成15年ということで、今年がラストイヤー。もう駄目なのかと思っていたが、ギリギリセーフのようだ。

08年から3年連続で準決勝進出、というか敗退(笑い)。15年にM-1が復活してからは準決勝、準々決勝、準決勝、準決勝で敗退している。誰もが知っているコンビではないが、お笑い好きなら1度は見たことがある、見れば分かるコンビだ。

コンビ名の由来は、あの巨人軍原辰徳監督の母校、東海大相模で囲碁将棋部に属していたから。M-1が中断してた頃が勢いがあって、フジテレビの「THE MANZAI」の認定漫才師に選ばれて活躍していた。最近はイベントなどにゲスト出演しているのを見て「M-1は終わっちゃったんだな」と思っていただけに、うれしく思う。

そんなことを考えながら、ルミネtheよしもとを出ると、旧知の吉本関係者とバッタリ。誘い合って歌舞伎町でグラスを傾けると、吉本の中では「今年の囲碁将棋は仕上がってる」と評判になっているようだ。決勝常連のように余裕を見せることなく、3回戦でも全力投球。ラストイヤー、大きな花を咲かせてほしい。

それにしても、吉本の人と純粋にお笑いの話をしたのは、いつ以来かなと考えてしまった(笑い)。そんなM-1の季節の訪れだ。【小谷野俊哉】