シンガー・ソングライター池田聡(56)が大阪市内で日刊スポーツの取材に答え、3月にキーボード清水信之、ギター佐橋佳幸、パーカッション田中倫明を迎えて、横浜と大阪で開催する「クロスロードツアー・スーパー・セッション2020」をPRした。

1986年のデビューシングル「モノクローム・ヴィーナス」でアレンジャーとして携わり、音楽ブレインとしてアルバムの編曲も多数手掛けた清水や、活動の分岐点となった作品のプロデュースや池田の美しいボーカルを一級の演奏で支える佐橋、田中という盟友とともに始めたセッションも3年目。自身も「イベントが育ってきた」と感じる特別なステージとなっている。今回初めて、ビルボード大阪でも公演が決まり、自身10年ぶりの出演となる。テーマは「~Night&Day~」で、第1部「朝焼け~最終電車」と第2部「ミッドナイト~朝焼け」の2部構成で、それぞれ異なるセットリストを用意するという。

「自分の楽曲はよくシティポップと呼ばれるのですが、どちらかというとアーバンミュージックの方がうれしい」。どちらも都会的なイメージのポップスを意味するが、池田の中では、爽やかな昼間の印象がある「シティ」より、アンニュイな夜が似合う「アーバン」という言葉のニュアンスが、より自分の楽曲のイメージに合うようだ。2部構成なので、「コントラストを付けたい」と意欲的に話す通り、自身の楽曲へのイメージをステージで具現化する。

「ぶらりツアー」と題して年間100本以上のライブを全国で行う。「サビないように。自分を律しながら」とストイックに、音楽と向き合う。ブラジリアン柔術も、ひとつの到達点といわれる茶帯までたどり着いたが、「音楽にはそこまで影響ないかな」とおどけてみせる。激しい有酸素運動として知られる競技だけに、呼吸の使い方など、自身の音楽に好影響が出ているはずだ。

昨年は自身も加わった企画ユニット「ICE BOX」が25年ぶりに再結成されて話題を呼んだ。94年に吉岡忍、伊秩弘将、中西圭三と「ノリで始まった」という当時珍しかったタイアップ・ユニットはCMソング「冷たいキス」がスマッシュヒットを記録した。「サウンドアプローチが異なるメンバーが集まって、遊び心で音楽を作った」と、楽しそうに振り返るが、「当時の譜面を手元に残していたので、昨年の再結成時に同じ譜面で演奏した。同じアレンジなのに、少しエレガントに大人な雰囲気な曲になった」と話す。

「音楽は生き物。生で音楽を聴いて、身近に感じて欲しい」とライブの魅力を語る。「楽曲はタイムマシンであり、どこでもドア」というように、聴く側もイントロだけで、一瞬にして池田の音楽に包まれた“当時”に連れて行かれる。

ライブは3月20日にモーションブルー横浜、29日にビルボードライブ大阪で、それぞれ2回公演。詳細は公式サイト(https://satoshi.net/)を参照。