宝塚歌劇の星組公演「柳生忍法帖」「モアー・ダンディズム!」が18日、兵庫・宝塚大劇場で初日を迎え、芝居では、トップ礼真琴が隻眼の剣豪・柳生十兵衛を好演した。

今作芝居は、山田風太郎の小説を初舞台化。故千葉真一さんの映像を見て役柄を作り込んだという礼は、左目を隠して殺陣にも臨み、剣の達人ながら弱者には優しく、ちゃめっ気もおりまぜた十兵衛を表現した。

今回、敵討ちを誓う7人の女性を悲願成就へと導く設定。礼は開幕前の取材で、組をまとめるトップとしての立場にもリンクさせ「今回(役柄で)みんなに『先生』と呼ばれるんですよ。なので、トップとはまた違うんですけど、先生と初めて呼ばれる気持ちよさ、感じております」とジョークもまじえて話していた。

前作「ロミオとジュリエット」の純真な青年から一転、ちゃめっ気も、反対に憂いも秘めた剣豪を見事に表現した。

今作は、2番手スター愛月ひかるの退団公演でもあり、愛月は、礼の敵役になる芦名銅伯を“怪演”。役柄は、芦名一族の再興を期す設定で、個性的な役柄が続く愛月は、年齢不詳の“妖艶な美”を披露した。

トップ娘役の舞空瞳は、その銅伯の娘を演じ、十兵衛の魅力に引っ張られていく役どころを演じている。

ショー「モアー・ダンディズム!」は、岡田敬二氏の作・演出による「ダンディズム」シリーズ第3弾。95年花組で真矢みき(当時)、06年星組で湖月わたるが主演した。宝塚レビューの伝統を継ぎ、品性、華麗さを軸に描くシリーズ。

冒頭、赤いハットを身につけて現れた礼は、組メンバーを従えても踊るなど、全編にわたって、ダンサーとしての本分も存分に発揮した。

愛月は真っ白な軍服で娘役、男役を従える見せ場もあり、男役の品格を貫いてきた宝塚人生の集大成公演として、そのキャリアを存分に発揮している。

兵庫・宝塚大劇場は11月1日まで、東京宝塚劇場は11月20日~12月26日。

愛月は、東京公演千秋楽をもって、退団する。