上白石萌音が初代ヒロイン安子を演じ、好調が続くNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で、米軍将校のロバート・ローズウッドを演じている村雨辰剛(33)は、スウェーデン生まれの庭師。26歳の時に日本国籍を取得し、NHK「みんなで筋肉体操」に出演していた。

村雨ふんする進駐軍の将校は、言葉が通じず困っているところ、ヒロイン安子に助けられ、後に安子へ大きな転機を与える。朝ドラのキーパーソンに抜てきされた。村雨は、制作のNHK大阪拠点放送局を通じて、コメントを寄せている。

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--出演が決まったときの気持ちは

村雨 僕は演技経験自体が少なくて、決まると思っていなかったので驚きました。メディアに出させていただく時は、新しい挑戦ができることがおもしろいと思っているので、演技させてもらえるというのがすごくうれしかったです。もし出身地のスウェーデンでもNHKが見られるなら、家族も喜ぶでしょうね。今までは「日本で何をやっているの?」と聞かれると、庭師というのは、説明できても「みんなで筋肉体操」はかなり説明が難しかったので(笑い)。ドラマに出ましたって言うと、あ、演技なんだと伝わりやすいと思います。やっとそれが言えます。

--役柄との共通点や、意識している点は

村雨 ロバートは、明るくてしっかりしている人だなという印象です。ちょっとマジメなところが僕自身と似てるかな(笑い)。僕はスウェーデンにいた頃、周りに日本語が全くない環境の中で日本語を覚えようと勉強していたので、安子さんやストーリーとの共通点も感じています。僕はスウェーデン出身で、ふだん使う英語がイギリス英語でもアメリカ英語でもどっちでもないので、なるべくアメリカ人になりきるように努力しました。アメリカ人の友だちと会話して、ちょっとその英語が移るようにとか、間違いを注意してもらったりとか、できるだけのことはしたつもりです。

村雨は、スウェーデンで暮らしていた学生時代、日本に興味を持ち、チャットなどのツールを使い、日本語を覚えたという。16歳の夏休み、初めて日本へ来て日本文化に触れてさらに魅了され、高校卒業後に日本へ移住した。

--撮影現場の雰囲気は

村雨 撮影初日に長めのセリフがいっぱいあるようなシーンが続いたので、さすがに緊張しました。安子役の上白石萌音さんが、僕が何にも分からなくて、すごく迷惑をかけている分をフォローしてくださって、とても助かりました。年齢は僕よりだいぶ下ですけど、すごくしっかりしていて大人な方だなと思います。プロフェッショナルで、ものすごくすてきです。同じNHKの番組でも、「みんなで筋肉体操」とは雰囲気が全然違います。隣に武田真治さんがいないから(笑い)。武田さん、もしくは谷本さんがいれば、安心だし、緊張感もほぐれたんですけどね。

--視聴者へメッセージを

村雨 すごく国際的な新しい要素がたくさんある作品なので、ロバートと安子さんの関係性の今後をぜひみなさんに、見ていただけたらなと思いますね。今から70年以上も前の日本でも、実際にこんなに国際的だったとは僕も知りませんでしたし、ひじょうに興味深いです。ロバートや安子の生き方は、本当に当時の最先端だったでしょうね。すごく昔の話であっても、これからグローバリズムが進んでいく中でためになる話や、現代と通じ合うような話も多いかなと思います。安子さんとロバートの展開がどうなるのか、放送をぜひぜひ楽しみにしていてください。

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◆村雨辰剛(むらさめ・たつまさ)1988年7月25日、スウェーデン生まれ。本名ヤコブ・セバスチャン・ビヨーク。高校卒業後、来日。英会話講師を経て「伝統的な仕事に就きたい」と、23歳のときに愛知県西尾市の庭師加藤剛氏に弟子入り。26歳で日本国籍を取得し、村雨辰剛となった。「村雨」は作家村雨退二郎(1903~59年)から、「辰」は辰年生まれ、「剛」は師匠の名から。著書「僕は庭師になった」など。ドラマは、デビュー作「二つの祖国」(テレビ東京系)など。