NHKは21日、大みそかの「第72回紅白歌合戦」(午後7時30分)出場歌手の曲目を発表した。紅組の乃木坂46は、「きっかけ」を歌うことが決まった。

同曲は16年5月リリースのセカンドアルバム「それぞれの椅子」のリード曲。紅白7回目の出場で、アルバム曲を歌唱するのは初めてだ。他のアーティストも含めて紅白では基本的にシングル曲が歌われるケースが多く、一見意外な選曲にも見える。ただ、グループにとっては大切な「節目の楽曲」であり、結成10周年を迎えた2021年を締めくくるのにふさわしい楽曲でもあるかもしれない。

16年5月リリースの「きっかけ」は当初から人気の高いナンバーだった。乃木坂46らしい清潔感がある優しく力強いメロディー、聴いた者の背中を押すような歌詞が特長だ。作曲は「君の名は希望」「サヨナラの意味」など乃木坂46の代表的な楽曲をいくつも手掛けてきた杉山勝彦氏が担当。作詞はもちろん、秋元康総合プロデューサーだ。

「MUSIC STATION」などの音楽番組でもたびたび披露され、Mr.Children桜井和寿がステージでカバーしたことでも知られる。最近では今年9月、人気YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」にメンバーで初めて登場した遠藤さくら(20)がソロ歌唱して話題となった。

ライブでも「節目」でたびたび歌われてきた。17年11月に開催された初の東京ドーム公演では、千秋楽公演のラストに披露された。1期生の伊藤万理華と中元日芽香にとってラストライブだった。今年に入ってからも、結成10周年を迎えた8月21日に福岡で行われたライブのラストは「きっかけ」だった。さらに、11月に開催された2度目の東京ドーム公演ではライブ中盤に披露。メンバー全38人が1~2フレーズずつをソロで歌いつないでいく演出で、ファンを沸かせた。

今回の紅白も大きな節目の1つだ。11年8月の加入以来グループの中心メンバーだった生田絵梨花(24)にとって、乃木坂46としてのラストデーとなる。卒業を間近に控えた生田も「最後に『きっかけ』を歌えるのはうれしいです。自分自身も歌っていて背中を押される曲です」と話している。

「きっかけ」はファンやメンバーからも愛される名曲の1つだ。紅白でどのような演出となるかは未定だが、過去にもさまざまなシーンで多彩な形で披露されてきただけに、年末の大舞台でのパフォーマンスも注目される。【横山慧】