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フットボール金融論 ~レアル・マドリードMBA卒・酒井浩之~

C・ロナウド150億移籍 レアルは得か損か

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これまでリーグや国際大会の賞金などについてお話ししてきました。やはりスポーツ界のお金のお話でいけば常にメディアを賑わしている天文学的な数字の「移籍金」。つい先日もポルトガル人のクリスティアノ・ロナウド選手(33)が推定150億円とも言われる大金を伴ったメガディールを発表し、ユベントスへ移籍しました。今回はこの移籍の裏側に見え隠れするそれぞれの立場から思惑をのぞいて見たいと思います。

ユベントスに移籍したクリスティアノ・ロナウド
ユベントスに移籍したクリスティアノ・ロナウド

今回のロナウド選手の移籍に見え隠れする裏側ですが、最初のアクションはどうやら仲介人のホルヘ・メンデス氏が、元々レアル・マドリードの監督であったアンチェロッティが新たにナポリの監督に就任したことから選手を売り込んだようでした。しかしながらナポリ自体はお金を捻出することはできず、次に別選手の交渉で伺ったユベントスに話をしたところ、間髪入れず乗って来た、という流れのようです。

しかしながらこのストーリーの裏には、選手側の思惑とチーム側の思惑が見え隠れしています。なんでもNO・1でありたいロナウド選手。つまり給与でメッシやネイマールに劣っていたことに対し、レアル・マドリードという世界一のチームの世界一の選手でありたい願望から、クラブに世界一の給与を求めました。

ところがクラブは30歳台半ばに差し掛かる(落ち目を目の前にした)選手に対して、大きな金額の契約を提示することはできないという判断をしました。ギャップはこの部分にありました。

フットボールの世界は今までの実績をベースに今後の事象に対して契約をするわけですが、未来の1年間の間にどのぐらいのパフォーマンスを見せることができるのかは、実は誰にもわかりません。わからないものに対して実績ベースの大きな見返りを求めるという状況からすると、非常にハードルは高くなります。チームとしてみればリスクの高い投資になりかねません。もしかしたら同じ金額で2、3選手獲得し、チーム内で競わせた方がよっぽど良い結果が得られるかもしれません。

レアル・マドリード側からの見方としてもう一つあるのが、獲得時に費やした金額をどこで回収するかという見方。例えば30億円の移籍金で獲得し、給与は年間5億で5年契約だったとしましょう。この場合、55億円費やすことになります。この選手が5年の契約を終えて引退してしまう、もしくは契約終了に伴って移籍してしまうと、チームには何も入って来ません。

しかしながら4年目で移籍した場合はどうでしょうか?4年目終了時点では50億円費やしたことになりますが、ここで移籍金が35億円の値がついたとしましょう。この場合は実質15億円の負担で済んだという見方ができます。この間にユニホームがどれだけ売れて、チームをどれだけ勝利に結びつけることができるのか・・・・

ロナウド選手の場合も同じです。120億円前後で獲得し、9シーズンの在籍後に約150億円近い金額で移籍しています。この間にCLを4回獲得するなど大活躍。しかし契約が切れてしまうとどうなるでしょうか。リターンがなくなるわけなので、チームにとってみれば無理やり出ていかれることを考えると売れるうちに売った方がリターン獲得に結びつく、ということになりますから、この選択肢をとった方がより確実に巨額の損失を避けることができるということになります。まさにチームはこの道をとったと言えるでしょう。

おのおののもくろみを垣間見ることができたディールであったと思います。さて次回はロナウド選手に出された130億、150億円という金額。これは全て一括払いだったということですが、この裏側に迫ってみます。【酒井浩之】

(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)


◆酒井浩之(さかい・ひろゆき)1979年8月24日、愛知県生まれ。幼少時よりサッカーに打ち込み、大学卒業後は広告代理店やスポーツメーカーに勤務。2015年3月にレアル・マドリード大学院スポーツマネジメントMBAコースに日本人として初めて合格。卒業後、レアル・マドリードへ同コースから唯一選出され入社。17年6月退社。現在はスペインと日本を行き来しながらスポーツビジネスのコンサルティングなどを手掛けている。

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