元日本代表FWの永島昭浩氏(54)がかつて在籍したガンバ大阪と、開幕から連勝街道を走る名古屋グランパスの対戦を分析した。

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両軍が持つ戦力、顔ぶれはほぼ互角。この日のボール支配率も五分五分だったように、どちらかが攻守で大きく見劣りしたわけでもない。何が勝敗を決めたのかというと、ビルドアップ(攻撃の組み立て)の差だった。

G大阪は特に前半、最終ラインでボールを持ってもうまく前に運べない。相手ゴール前までつなげないと得点の確率は低いままだ。だったら「つなぐ」のではなく「裏へ蹴る」といった速攻を選択する手もあったのではないか。つなぐことを考えすぎて、中盤でボールを失ってはリズムを崩す悪循環だった。

さらにG大阪にはボールを保持しても落ち着きのない、名古屋から見ればおどおどしたプレーも見受けられた。対戦相手はそういった弱点、スキを見つけると、少々のリスクを負ってでも前へ出て、積極的なプレーが数多くできるようになる。

後半42分の名古屋の決勝点もそれに当てはまるかもしれない。こぼれ球をうまくつないだ名古屋が、左サイドから素早くゴール前へと運んだ。結果はオウンゴールだったが、ジョーやシミッチら攻撃陣は一心不乱にゴール前に攻め込んでいた。これは試合開始から見せていた不安定なG大阪のプレーが伏線にあったからだろう。(日刊スポーツ評論家)