プレーバック日刊スポーツ! 過去の2月7日付紙面を振り返ります。2013年の1面(東京版)は香川-本田の代表初ホットラインでした。

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<親善試合:日本3-0ラトビア>◇2013年2月6日◇ホームズスタジアム神戸

 日本待望のホットラインが開通した。日本(FIFAランク21位)がラトビア(同104位)を3-0で下し、2013年の初戦を白星で飾った。後半15分にFW本田圭佑(26=CSKAモスクワ)が、FW香川真司(23=マンチェスターU)のパスから13年初ゴール。代表で初めて本田の得点に香川のアシストが記録された。本田は香川を呼び寄せて喜ぶなど「共存」をアピール。3月26日のW杯アジア最終予選ヨルダン戦(アンマン)に勝てば5大会連続の本大会出場が決まる日本が、最高の試運転を終えた。

 派手なゴールパフォーマンスはなかった。本田は胸を張るわけでもなく笑顔で香川を指さした。ゴール直後、完璧なパスをくれた背番号10を待ち受け、ハイタッチ後に抱き寄せて喜びを分かち合った。記念すべき「香川→本田」の連係で生まれた初ゴール。来年のW杯ブラジル大会を明るく照らすひと筋のラインが浮かび上がった。

 終了直後のテレビインタビューでは「シンジがしっかり周りを引き付けてフリーのところにパスをくれた。いいパス。僕はシュートを打っただけ。あれは、あそこにパスをくれた選手がすごい」と感謝した。

 試合を決定付けた13年初得点は後半15分。左サイドの香川をよく見て、位置をとった。「悪魔」と称される左足に届いたグラウンダーのパス。それをダイレクトで天使の羽がはえたような軌道に変え、ループシュートでネットを揺らした。

 ともにトップ下を主戦場とする本田と香川。二枚看板は、ここまでザックジャパンでは完璧に機能してきたとはいえない。まるでトップ下を争っているような「二者択一」の構図で捉える向きもあった。本田はこの日、体が重く、トラップも乱れ低調な内容だった前半から香川へのパスを出し続けた。そして国際Aマッチ通算13ゴール目で初めて、香川のアシストがついた本田のゴールが生まれた。逆の「本田→香川」もこれまでにない。待望のホットラインが開通した。

 本田の時に過激なまでに映る言動と、およそ日本人離れした思考。この男には他者を寄せ付けず、ねじ伏せて従わせるようなイメージもあるが実際は違う。持ち前の観察眼に加え競争と主張の激しい欧州で暮らし学んでいる。ある時、話題が人間関係になった。するとビジネスの局面に例え、持論を展開した。

 「例えば、交渉事というのは、こっちが主張し求めるものだけを得ようとしてもダメなんです。相手が気持ちよくこちらの条件を受け入れてくれるようなシチュエーションに持っていくことが大事なんです」

 所属のCSKAでも、昨年あたりから代名詞である直接FKを譲る回数が増えてきた。日本代表では「W杯優勝」を公言し、突き進んでいる。世界の頂点に立つためには、志を同じくする確かな“パートナー”が必要。それをよく分かっている。試合後の取材エリアでは「お疲れさまです」と口を開いただけ。真相が語られることはなかったが、数多く出した香川へのパス、そして香川からのパスで決めたゴール-。そのすべてが、1年半後の世界の頂を見すえて本田が思い描くステップ。この日のただの親善試合は、きっと価値あるターニングポイントだったと思える一戦になる。

※記録と表記は当時のもの