8月31日のサッカーW杯アジア最終予選(埼玉)で日本と対戦するオーストラリアが、日本の“刺客”としてオーストラリア人Jリーガーの積極的な招集を検討していることが21日、分かった。主力の横浜F・マリノスDFデゲネクの招集は確実だが、残る4人も気候やピッチなど日本の環境に順応しており、アウェーでの即戦力となり得る存在だ。招集が実現すれば、W杯本戦とW杯予選の対戦で通算0勝5分け3敗の天敵が、より力を増すのは間違いない。

 「Jリーガー」が日本のW杯出場を阻むキーマンになるかもしれない-。アジア枠で加入し日本でプレーする頼もしい助っ人たちが、8月31日の大一番、日本戦に向けてオーストラリア代表に積極的に招集される可能性が浮上した。同国連盟の関係者は「Jリーグでプレーする選手たちをチェックしている。彼らには心の準備をしておいてもらいたい」と明かした。

 ロシアで開催中のコンフェデレーションズ杯にアジア王者として参戦している「サッカールーズ」(オーストラリア代表の愛称)に、Jリーガーは主力の横浜DFデゲネクだけ。だが、代表候補の“刺客”たちはJリーグにまだ4人いる。FC東京FWバーンズ、清水エスパルスFWデューク、ヴァンフォーレ甲府MFボザニッチとJ2の湘南ベルマーレGKベラピ。全員に代表招集歴がある。

 Jリーガー招集の利点は明らかだ。オーストラリアは季節が逆の南半球から、残暑厳しい日本に乗り込んで来る。暑さへの対応が難しいことは、酷暑のテヘランで消耗した日本のイラク戦(13日)での戦いをみれば明らか。ただの暑さではなく日本独特の湿気も問題。短期間での適応は難しいが、日本で生活し、プレーする選手ならすでに順応しており問題ない。ピッチも含めた環境、そして日本人のプレースタイルも知っている。さまざまな情報収集に力を発揮するだろう。

 W杯とW杯予選で、日本には通算3勝5分け0敗と抜群の相性の良さを誇るオーストラリア。もともとJリーガーの代表選手の実力には定評がある。すでに引退したが、名古屋でプレーし10、11年と2年連続で得点王となったFWケネディには、06年W杯ドイツ大会など何度も痛い目に遭わされたトラウマがある。両国にとって、W杯出場を左右する重要な一戦。日本の天敵もあの手この手で、徹底した準備を進めている。

 ◆W杯アジア最終予選B組行方 勝ち点17で首位の日本は、8月31日にホームで同16のオーストラリアに勝てば2位以上が確定、6大会連続6度目の本大会出場が決まる。この試合に引き分けるか敗れると、最終戦となる9月5日のサウジアラビアとのアウェー戦に持ち越し。残り2試合で1勝すれば自力で出場権を得られるが、勝てない場合は日本戦以外にタイ戦を残すオーストラリア、UAE戦を残すサウジアラビアに抜かれ3位に転落する可能性がある。