敗北のホイッスルが鳴った瞬間、鹿島DF昌子がピッチに2度、握り拳をたたきつけた。

 満足感は1つもなかった。「正直、前半は本気を出していない。(柴崎)岳が2点取ってリードした瞬間、目つきが変わった。通用したとは思っていない」。前半からクロスボールはDF植田らDF陣とともに、1度も決定機をつくらせず、はね返した。後半42分にはロナルドとの1対1のピンチも、見事なボール奪取で救った。

 GK曽ケ端もスーパーセーブを連発した。同28分、ベンゼマのシュートを左手1本で、後半28分には再びベンゼマのシュートを封じ、同36分には抜け出したロナルドの右足シュートを足でストップ。「チャンスが十分にあっただけに残念」。30本のシュートに耐え続けたが、丸刈り頭をかきむしるほど、悔いを残したことが、手応えでもあった。

 前日17日には国内18冠のすべてに立ち会っている橋本トレーナーの誕生日を、小笠原が発起人となり祝った。その場でクラブW杯トロフィーを掲げる約束もしていた。だが、誓いは持ち越し。来年、再来年はUAEで開催が決まっているため、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を制することが、再挑戦への関門となる。昌子は「惜しくも負けちゃった鹿島でしかない。次こそレアルに勝った鹿島と言わせたい。優勝しないと大きな成長ではなく、1歩の成長」。まずは初のアジア制覇のために守りきる。【鎌田直秀】