ジュビロ磐田はアウェーで横浜F・マリノスに0-1で敗れ、準優勝した04年以来13年ぶりの4強進出を逃した。立ち上がりから決定機をつくりながら無得点の時間が続くと、0-0で迎えた後半36分、オウンゴールで決勝点を献上した。決定力不足が重くのしかかり、03年以来となる天皇杯優勝への道が絶たれた。

 04年以来13年ぶりの4強進出を懸けて敵地に乗り込んだ磐田が、序盤から攻勢を仕掛けた。キックオフの笛から間もない前半5分、MF山田大記(28)が負傷交代。開始直後からいきなりハプニングに見舞われたが、全く動じず。チーム全体が連動した守備からリズムをつかみ、好機を演出。主導権を握りながら、優位に試合を進めた。

 0-0の前半ロスタイムには、ゴール中央で獲得したFKにMF中村俊輔(39)が左足一閃(いっせん)。強烈なブレ球でゴールに迫ると、同プレーで獲得したCKからDF藤田義明(34)がネットを揺らした。オフサイドの判定でノーゴールとなったが、「ジュビロのために何を表現して、何を残せるかを考えてプレーしたい」と移籍後公式戦2度目となる古巣戦に臨んだ背番号「10」を中心に、確実に横浜ゴールに迫った。

 後半も決定機を演出しながら、肝心なゴールが遠い-。不穏な空気が流れ始めると、同36分だった。サイドチェンジからゴール前に折り返されると、ボールは必死に手を伸ばしたGK三浦龍輝(25)の手を抜け、DF高橋祥平(25)の体に当たってゴールに転がった。痛すぎる先制点を失うと、その後の反撃も実らず敗戦を告げる笛が鳴った。

 ただ、下を向いている暇はない。29日にはリーグ戦で再び横浜と対戦(エコパ)。4試合を残し、ACL圏内進出の可能性も残している。03年以来の天皇杯制覇を絶たれた借りを返すしかない。【前田和哉】