復活の第1歩を刻んだ。北海道コンサドーレ札幌MF深井一希(22)が27日、300日ぶりにピッチに立った。沖縄・金武町で行われた浦和レッズとの練習試合(45分×4本)の1本目でフル出場した。昨年4月2日甲府戦で左膝前十字靱帯(じんたい)断裂、5年目のシーズンを棒に振った。負傷以来久しぶりの実戦に「内容はまだまだだけど、ピッチで走れて自信になる。ここまでやってこられてよかった」。手術、リハビリを乗り越えてこの日を迎え、感無量の様子だった。

 毎シーズン、ケガに泣かされ、悔しい思いをしてきた。U-16、17、18と年代別日本代表に選ばれるなど、同世代トップを走ってきた。だが両膝を痛め、シーズンをフルに戦い抜いた経験がない。昨年受けた手術はプロ入り後5度目。それでも自分の可能性を諦めなかった。「応援してくれる人がいるし、やれる自信がある」。6年目の今季、「ケガがあったからこそ活躍したと言えるように頑張りたい」と誓う。

 自身と同じように、傷を負った体と向き合う選手たちの存在が、心を奮い立たせてきた。昨年の術後、東京・国立スポーツ科学センターで3カ月間、リハビリを行った。フランクフルトMF長谷部やドルトムントMF香川らもトレーニングしており「日本代表が結構いて、励まし合いながらできた」。食事面などの情報交換で、意識は高まった。

 この日はボランチとして攻撃を組み立て、正確なパスを供給した。左膝にテーピングをし「まだまだできるということを見せて希望になれば」。今年こそは-。プレーで勇気を与える。そんな選手になる。【保坂果那】