J1昇格を争うJ2の戦いが、熾烈(しれつ)さを増している。この1週間で、そのうねりの中心にいたのはFC町田ゼルビアだ。町田は、前節14日の首位大分トリニータとの直接対決に激しい撃ち合いの末、MFロメロ・フランク(31)の2発などで3-2で逆転勝ちすると、17日には台風の影響で延期となったレノファ山口FCとのアウェー戦に中2日で挑み、後半31分のMF杉森考起(21)の技ありの決勝弾で1-0で競り勝ち、連勝で勝ち点を68に伸ばし2位に浮上。1試合消化が少ない中、大分に代わって前節、首位に立った松本山雅FCと勝ち点1差に肉薄した。

大分は、6戦ぶりの黒星を喫して町田と勝ち点2差の3位に転落。その大分を勝ち点2差でアビスパ福岡が追い、2連勝の大宮アルディージャが勝ち点を63に伸ばして福岡と勝ち点1差で5位、大宮に得失点差で及ばない横浜FCがJ1昇格プレーオフ圏内の6位に踏みとどまり、横浜FCに総得点で及ばない東京ヴェルディが7位につけた。首位松本から7位東京Vまでの7チームが、勝ち点6の間にひしめく。一方、16日にホームでヴァンフォーレ甲府に敗れた8位徳島ヴォルティスと、東京Vとの勝ち点差が9に開いた。

1試合消化が少ない町田と、勝ち点29でJ3自動降格圏21位のカマタマーレ讃岐を除く20チームの残り試合が5試合となった今節、注目のカードは、横浜FCが勝ち点で並ぶ大宮アルディージャとホームで対戦する1戦だ。勝った方は、J1自動昇格圏の2位に接近できるだけに、5、6位直接対決は互いに負けられない、つぶし合いの様相を呈する。リーグ戦では、大宮が03年5月に敗れて以降、直近の6連勝を含む9勝2分け、11戦無敗と横浜FCを圧倒している。2-1で勝った6日の水戸ホーリーホック戦で2ゴールのMFマテウス、1-0で勝った13日の栃木SC戦で決勝弾を決めたFW大前元紀の、2枚看板が爆発するか? 一方の横浜FCは、13日のアウェー愛媛FC戦で2戦ぶりの勝利を挙げた。同戦でゴールを決め、得点ランク4位の17ゴールと今季も好調の、FWイバの爆発なくして“鬼門”大宮打倒はあり得ない。

首位の松本と2位町田は、ともに今季の初戦で敗れた相手と対戦する。松本はホームで勝ち点36の20位FC岐阜と対戦する。岐阜には17年まで3勝1分け、4戦無敗を継続していたが。5月6日のアウェー戦では0-2で敗れた。町田は勝ち点49で13位のファジアーノ岡山とアウェーで対戦する。町田は岡山に5月27日のホーム戦で1-3で敗れたのを含め、リーグ戦は5分け2敗と1度も勝ったことがない。ただ、最も直近で戦った6月の天皇杯2回戦では1-0で勝ち、公式戦初勝利を挙げている。

一方、大分は松本と町田とは逆に、直近の対戦で久々に勝利を挙げた14位ジェフユナイテッド千葉とアウェーで対戦する。大分はリーグ戦では、千葉に17年まで1分け5敗と6戦未勝利だったが、4月1日のホーム戦で4-0で大勝。苦手意識を払拭(ふっしょく)した上でアウェー戦に臨む。

福岡は勝ち点51の10位モンテディオ山形とアウェーで対戦する。リーグ戦では5月のホーム戦に2-1で勝ったのを含め2連勝、3戦無敗を継続している。

東京Vは1つ順位が下の徳島をホームに迎え撃つ。リーグ戦では2連勝中で、J1昇格プレーオフ圏の各チームの追撃とプレーオフ圏争いのライバルを蹴落とす意味でも、負けられない。