鹿島アントラーズとして初めてのアジアタイトル。DF昌子源は決めていた。トロフィーを受け取ると、すぐに「主将」を呼んだ。嫌がるMF小笠原満男に無理やり持たせた。そして、迎えた最初のおたけび。

「そりゃそうでしょう。絶対に嫌がると思ってたけど、みんなが満男さんを探し出して、実際にそうなって良かったです。鹿島の主将として、満男さんにあげてほしかった。良かったんじゃないかな。なんやかんや笑顔だったし、なんやかんや1番うれしそうやった。イヤイヤ言いながら。やっぱり1番似合うわ。あの人が1番似合う」。そう言う昌子はうれしそうだった。

完全アウェー、10万人のアザディ競技場で、ひたすら体を張った。声が通らなくとも、出し続けた。途中の展開から「今日は点が入らないかも」と覚悟した。だからこそ、守り抜いた。

記念すべき20冠目がアジアチャンピオンズリーグの初タイトル。「もちろん(最終節で優勝を逃した)去年のJリーグとか、今年も2つのタイトルをもう失ったけど、何か縁があるんじゃないかと思うし、この20冠目をACLで取らなかったら、いつ取るねん! って、自分たちも思っていたところがあった。鹿島に残っている仲間や家族のために、サポーターのために戦わなくちゃいけなかった。まぁ、勝ってはいないんだけどね、今日は。でも、非常にいい試合だったんじゃないかな」。この日のゲーム主将はそう言って、感慨に浸った。