静岡学園の攻撃陣が大一番で躍動した。富士市立に6-1で大勝。決勝過去最多タイとなる6得点を挙げ、5年ぶり12度目の優勝を飾った。

FW小山尚紀(3年)が、ハットトリックを達成。来季J1鹿島アントラーズ内定のMF松村優太(3年)は、開始18秒で先制点を決めてゴールラッシュの口火を切った。全国高校サッカー選手権(12月30日開幕)の組み合わせ抽選会は、18日に都内で行われる。

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静岡学園勝利を告げる笛が鳴ると、イレブンは万感の思いに浸った。抱き合い、座り込み、寝そべる…。優勝候補に挙げられながら、頂点に届かなかった長い年月を乗り越え、味わってきた屈辱をついに晴らした。松村の目には、涙がにじんでいるように見えた。

先制攻撃で試合が動いた。開始直後、U-18日本代表の松村が相手の横パスを右サイドでカット。複数の相手をドリブルでかわし、エリア内から左足でゴール左下に流し込んだ。開始18秒で先制点をゲット。「立ち上がりに圧倒するつもりだった。特別な試合で早い時間に先制して、落ち着くことができた」。来季のJリーグで披露することになる得点力を見せつけた。

小山は前半に2得点。後半にはチーム6点目を挙げて、試合を決めた。ハットトリックを達成し、今大会通算得点を「4」に伸ばして得点王に輝いた。得意の左サイドからのカットインで、ゴールを量産。「(松村がいる)右サイドに負けないようにプレーした」と胸を張った。

今年の新人戦と総体は、県大会決勝で敗れた。県選手権も昨年まで、2年連続準優勝。もどかしい状況が続いたが、ぶれることなく個人技主体の攻撃サッカーを貫いた。最前線でフル出場したFW加納大(はる、2年)は「前線の3人が仕事をすれば勝てると思っていた」。言葉通り、自らも2得点挙げ、最終スコアは6-1。過去決勝最多タイの得点数で、初めて決勝に進んだ相手を退けた。

12度目の優勝を果たし、清水商(現清水桜が丘)と並んで歴代2位タイに躍り出た。だが、勝利の余韻に浸るのもつかの間。18日には、全国大会初戦の相手が決まる。県代表は4年連続で初戦敗退中。静岡学園が前回出場した5年前は、ベスト8に進んだ。松村は「出場して終わりじゃない。やるからには日本一。さらに成長すれば可能性はある」。静学スタイルに磨きをかけ、全国の頂点を目指す。【古地真隆】