いわきFC(福島)が4-0で大山サッカークラブ(山形)を圧倒し、3年ぶりに初戦を突破した。前半29分、J2ファジアーノ岡山から今季加入したMF松本健太郎(24)が、公式戦プロ初先発初ゴールを右足で決めて先制。今季昇格したJFLリーグ戦で出場機会が少ない選手中心のメンバー構成だったが、東北リーグ2部相手から後半にも3得点を奪った。東北勢では同じJFL勢のラインメール青森、ソニー仙台(宮城)も勝ち、23日に行われる2回戦に駒を進めた。

松本の真骨頂だった。ウイングバックとして左サイドでボールを受けると、内にドリブル。相手をかわして思い切り右足を振り抜いた。「プロ初ゴールは素直にうれしい。得意な形で流し込めた。でも、その後に2点目、3点目に向かって、クオリティー高くプレー出来なかったことが反省」。今季JFL5戦全戦でベンチ入りも、途中出場2戦でシュートもなし。個人でもアピールが必要な一戦で、持ち味の運動量や動きだしのタイミングなどを、最大限には発揮しきれなかった部分もあった。

佐賀北、佐賀大で結果を出してJリーガーになったが、岡山での2年間は公式戦出場なし。「Jにいたプライドなどない。チャレンジャーの気持ち。ルーキーのつもりで誰にも負けないような一瞬一瞬を、毎日の練習から意識しています」。試合前には田村雄三監督(37)から個々に、やるべきことを言及されて臨んでいた。だが、消極的なプレーにハーフタイムにはゲキもとんだ。何度も仕掛けて左クロスを上げたが「もっと質を上げていかないと」。21本のシュートで4得点。主力組を脅かす貴重な1勝とはならなかった。

試合後、同監督も「各選手のストロングなところを出して欲しかったが、ちょっと情けないゲームだった」。ともにラインメール青森と対戦する20日のJFLリーグ戦、23日の天皇杯2回戦で出場を勝ち取る気持ちの希薄さを残念がった。

前日15日には来年のJ3クラブライセンス交付が認められた。JFLは3勝2敗の勝ち点9で5位につける。天皇杯を含めて結果を出す底上げが、昇格に直結する。【鎌田直秀】