「天皇杯男」が、意地を見せた。契約満了に伴い、今季限りで浦和レッズを退団するMF宇賀神友弥(33)が、先制点をマークし、C大阪を2-0で下す勝利に貢献した。浦和のユニホームで最後の埼玉スタジアム。優勝した18年以来、3大会ぶりの決勝進出へ導いた。来季J2降格が決まっている大分は、川崎FをPK戦の末に破り、九州のJリーグクラブとして初の決勝進出。両クラブは19日の決勝(東京・国立競技場)で激突する。

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宇賀神は、少し間をおいた。試合後のインタビュー。「言い方悪くなってしまうんですが、契約満了にしたことを後悔させてやろうと思っていました」。さまざまな思いが脳裏によみがえった。考え込み、素直な思いを口にした。報道陣向けのオンライン取材でも、変わらなかった。「契約満了にした、決断をした人たちを『あなたたちは間違っていた』ということを証明する強い気持ちで立ちました」。あえて強い言葉で奮い立たせ、“埼玉最終戦”のピッチに立った。

浦和の一員として、最後の埼玉スタジアム。覚悟が呼び込んだ。0-0の前半29分。ペナルティーエリア左でボールを受けると、右足で低い弾道のシュート。ゴール右へ、突き刺した。同じ“埼スタ”で行われた18年の仙台との決勝戦でも、優勝を決める豪快ボレー。苦楽をともにしてきたGK西川は「天皇杯男だなと。埼玉スタジアムで最後点を取ったのは持っているなと」と、満面の笑みを浮かべた。

複雑な気持ちで、この地に立った。途中出場した今季リーグ最終戦(4日、対名古屋)で「自分のピッチ上での役割は終わったのかなと思っていました」。この日の天皇杯も「浦和に残る選手にとって、貴重な機会。成長するために、計り知れない舞台。監督に『僕じゃないんじゃないですか?』と言おうと思っていた」。それでも、埼玉に生まれ育ち、浦和一筋に過ごしてきた血が騒いだ。「浦和の人間として、支えてくれるサポーターに、僕を覚えてもらえるチャンスがあれば」。先発として、大仕事をやってのけた。

上限制限が解除され3万人以上が集まった埼玉での務めを終え、次なる舞台は19日決勝戦(対大分)。同じく契約満了で退団する同学年の槙野、「阿部ちゃん」と慕う現役引退のMF阿部と、頂点に立つ。【栗田尚樹】

○…今季限りで現役引退するMF阿部勇樹(40)は、最後の埼玉スタジアムでスタンドから仲間の頑張りを見つめた。ベンチ外で、出場はかなわなかったが、ロドリゲス監督は「阿部勇樹に天皇杯を掲げてもらえるように」と一丸となって頂点をつかむ。試合後には、同じく現役引退するC大阪のFW大久保と談笑。互いのここまでの奮闘をねぎらってる様子だった。