<FIFAワールドカップ2026(W杯)北中米大会:ブラジル2-1日本>◇決勝トーナメント1回戦◇6月29日(日本時間30日)◇ヒューストンスタジアム

決勝トーナメント1回戦で日本はブラジルに敗れ、大会を去る。1-2で逆転負け。合言葉の「最高の景色」を見ることは、頂点に立つ夢はかなわなかった。その要因を探るべく、連載「見果てぬ景色」と題して複数回お届けする。初回は選手層の厚さを考察した。

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スポーツに「たられば」は禁句だが、そう思わざるを得なかった。三笘がいたら、久保がいれば、南野がいたら、遠藤がいれば…。日本は複数の主軸を欠き、ブラジルに挑んだ。途中からFW町野を投入し、今大会でフィールドプレーヤー全員を含む過去最多の24人を起用するなどしたが、あと1歩及ばなかった。

この4年間、森保監督は「2、3チーム分の戦力」と選手層の拡大を訴えてきた。第2次政権で招集したのは89人。多くの選手をテストし、見極めたメンバー26人のうち、初出場組は14人。前回からの進化ともいえる新戦力を加えて大舞台に挑んだ。

「ベスト」なメンバーと編成したが、ケガした三笘と南野は選外。負傷明けの遠藤は開幕3日前に途中離脱し、久保は初戦のオランダ戦で左ひざを痛めて間に合わなかった。監督は「(ケガで)選手たちがいなかった、いなくなったということは、チームの戦いとしては影響されたところがあるかなとは思います。そこは事実」と素直に認めた。

この日シャドー(トップ下)で先発させた伊東や前田クラスは、本来なら途中から流れを変える切り札として使いたい存在だった。しかし今回は上位層が抜けたことで彼らが1番手となり、途中交代の選択肢が狭まった。

ブラジルとの差が出たのはまさに交代選手だった。相手にも主軸に複数のケガ人が出ているが、後半開始と同時にアタッカーのFWエンドリッキ、同20分には決勝点をマークしたMFマルティネッリら世界的なスターを次々と投入することで勝利をつかんだ。

対する日本は苦しかった。後半途中に両ウィングバックを交代したのは相手のクロス攻撃に対応するための措置。その次に切ったのは町野と田中の2枚。追加招集から初出場を飾った町野は、試合に入り込めず、苦戦していた印象を受けた。ブラジルのように、W杯で戦える3チーム分以上の戦力はなく、1・5~2チーム分の戦力だったため、トップ層にケガ人が続出したことで展開を変える勝負手を失った。

前向きな指揮官はこう捉えた。「こういう経験を幅広く多くの選手たちがすることによって、日本のサッカーは全体のレベルアップにつながっていく」。4年後への投資が花開くことを願うしかない。【佐藤成】