BC2(脳性まひ)は、広瀬隆喜(35=西尾レントオール)が杉村英孝(37=伊豆介護センター)を4-3で下して3年ぶり8度目の優勝を飾り、4大会連続のパラリンピック代表に内定した。杉村は3年連続6度目の優勝を逃した。

逆転に次ぐ逆転。日本のボッチャをリードしてきた2大エースの日本一決戦は、ピリピリとした緊迫感が充満する展開になった。

第1エンドに広瀬が1点を先制すると、第2エンドに杉村が2点を奪う。第3エンドは2人のボールがジャックボール(目標球)にピタリと寄ってともに1点を追加した。そして、最終第4エンド。

広瀬は今大会5試合目で初めてジャックボールをコートの右奥に運ぶ“長距離戦”を仕掛け、杉村の制球ミスを誘う。力をこめた3投目は自らのボールをはじきながら杉村のボールを飛び越える。2つのボールを同時にジャックにピタリと寄せて勝負を決めた。

「この1年間、全フィールド(コート)、どこでも戦えるように練習してきた。19年最後の大会で杉村さんに勝ててうれしい」。決勝対決は5年連続7度目。これまで6度のうち、3年前の1度しか勝てていなかった。技巧派の杉村を倒すため、ジャックをロングに運ぶ練習を重ねた。夏までは3種類のボールを使っていたが、6球すべて同じものに変えた。持ち味のパワーを生かしつつ精度も上げられるように、どんなショットでも同じ感覚で投げるためだ。自分と同じ左利きの杉村を想定し、練習相手に左手で投げさせたこともあった。そんな積み重ねが決勝の最終エンドで結実した。

今年は国際大会でも結果が出ず、世界ランキングは杉村に2位に対して23位と大きく後れを取った。そのライバルを倒しての日本一奪回で東京パラ代表にも内定した。「これからも課題をクリアしていって、東京では個人でも団体でも結果を出したい。金メダルを狙います」。リオ大会では杉村らともに団体戦チームBC1-2で銀メダルを獲得した。ホーム開催の大舞台で悲願の世界一へ、広瀬が復活ののろしを上げた。

◆広瀬隆喜(ひろせ・たかゆき)1984年(昭59)8月31日、千葉県君津市生まれ。中学でビームライフル、高校で車いす陸上を経験。02年からボッチャを始め、06年に日本選手権初優勝。パラリンピックには08年北京大会から3大会連続出場し、16年リオ大会団体戦チームBC1-2で銀メダル。世界ランキング23位。西尾レントオール所属。