パラ競泳のレジェンド、鈴木孝幸(34=ゴールドウイン)が「トビウオパラジャパン」を引っ張る。

04年アテネ大会から5大会連続出場のベテランは、過去金メダル1個を含む5個のメダルを獲得した。進化を続けて迎える今大会は出場5種目で金メダルを含むメダル5個獲得を宣言。明日25日の男子50メートル平泳ぎで1つめのメダルを目指す。

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日本で迎える5回目のパラリンピックに向けて、鈴木は自信を口にする。「金メダルを含めて、出場する5種目でメダルをとる」。裏付けはある。6月にドイツで「前哨戦」に出場し、自由形2種目で自己ベストを更新。34歳にして、まだ伸びていると胸を張る。

前回リオデジャネイロ大会は、初めてメダルなしに終わった。引退も頭をよぎったが、映像分析で泳ぎの軸がぶれていることを発見し、その矯正に努めた。積極的に体幹トレーニングを取り入れ、泳ぎが安定。集大成という思いで臨む東京大会への自信がついた。

12年ロンドン大会後、拠点を障がい者スポーツの本場でもある英国に移した。ニューカッスルのノーサンブリア大に留学し、現在は同大学院でスポーツ・マネジメントの研究をしながら競技を続ける。新型コロナの影響で一時帰国したものの、今年に入って再び渡英。「ホーム」で、最後の追い込みと調整をした。

東京大会に向けて、追い風も吹いた。生まれつきの四肢欠損。自由形はS5というクラスだったが、18年の規定改定で1つ障がいが重いS4に変わった。一気に金メダル候補に。「大きいですね」と話した。

大学院で障がい者スポーツを研究する鈴木には、今大会で別の目標もある。5月に国際パラリンピック委員会(IPC)のアスリート委員に立候補。大会中にアスリートによる投票で、22人中6人が決まる。パラスポーツ発展のために、鈴木は5種目のメダルとともにアスリート委員当選という6個目の「メダル」も目指す。

◆鈴木孝幸(すずき・たかゆき)1987年(昭62)1月23日、静岡・浜松市生まれ。静岡・聖隷クリストファー高から早大-ゴールドウイン。6歳から水泳を始め、パラリンピックは17歳の時に04年アテネ大会に初出場。08年北京大会の男子150メートル個人メドレー金など4大会でメダル5個を獲得した。障がい者スポーツの普及や教育活動にも積極的で、2020年東京大会招致にも尽力した。