16年リオデジャネイロ大会に続く2大会連続出場の元JRA調教助手、宮路満英(63=リファイン・エクインアカデミー)が得点率66・824%で7位入賞を果たした。

14歳のせん馬チャーマンダーとコンビを組んだ。右半身の感覚はない。右腕は胴に固定して騎乗する。競技中に裕美子夫人(63)が人馬が進む経路を指示するコマンダーとして声を張り上げる中、常歩(なみあし)から速歩(はやあし)への移行はスムーズ。速歩で円を描く動きなどを鮮やかに演技した。

チャーマンダーについては「ヨーロッパ馬にしてはそう大きくなく、日本人でも乗りやすい体形です。扶助にも敏感に反応をしてくれます。そして大きくゆったりとした歩きであり、性格はおとなしく、人懐っこい馬です。コンタクトがうまくとれるときれいなアウトラインを描き、いい体勢を見せてくれます。伸長速歩の切れが素晴らしい馬です。本番では、その馬の特徴を生かし、伸長速歩や常歩で高得点を出したいと思います」と語っていた。

前回リオ大会は11位。現地に到着したのが本番の2、3日前で練習不足は否めなかった。だが今回は昨年11月の全日本大会で足を踏み入れた馬事公苑。優しい笑顔に温厚な人柄で「みやじい」と呼ばれ慕われる63歳が、地の利をしっかり生かした。

上位8人が進む、30日の個人自由演技にも出場する。

◆宮路満英(みやじ・みつひで)1957年(昭32)10月29日、鹿児島県出水市生まれ。大阪市立生野工高時代に北海道を旅行し、馬に興味を持つ。卒業後は職を転々としたが、北海道日高、門別の牧場で2年間の修業を積み80年、22歳で栗東トレセンへ。宇田、森厩舎で調教助手を務め、98年に仏G1モーリス・ド・ゲスト賞を制した名牝シーキングザパールにも携わる。05年7月に脳卒中で倒れ、07年に退職。前回リオ大会では日本ただ1人の馬術代表。

◆パラリンピックの馬術競技 肢体不自由、視覚障がいの選手によって男女混合の馬場馬術として行われる。96年アトランタ大会から正式種目。演技の正確性と芸術性を争い、順位は複数の審判が採点して、その平均点(得点率)で決まる。個人規定の上位8人が30日の個人自由演技に進むことができる。28、29日は団体戦も実施される。選手は障がいの程度に応じて最も重いグレード1から最も軽いグレード5にクラスが分けられる。個人戦はクラスごとに順位を決定する。宮路は障がいの程度が2番目に重いグレード2で、常歩と速歩だけで演技する。