日本代表の絶対的エースの池崎大輔(43)は試合後、次世代のエースの橋本勝也(19)にこう言葉を掛けた。

「この悔しさを忘れずに抜いてこい」

43歳の大先輩からの熱いメッセージ。その一言を受けて、橋本は号泣。涙が止まらなかった。

日本代表は、世界屈指のスピードと操車技術を誇る池崎とロングパスが武器の池透暢主将(41)の“イケイケコンビ”を中心にトライを量産する。しかし、ともに40代となり、若手育成が急務とされている。その役割を担うのが、期待のホープの橋本だ。

米国出身のケビン・オアー監督に才能を見いだされて、福島・田村高1年時に代表初選出。池崎、池と同じ障害が軽い「ハイポインター」で、攻撃の中心となり豊富な運動量と瞬時の判断が求められる。18年世界選手権などの国際大会で世界レベルのフィジカルや技術を学んだが、今大会は出場機会が少なく、持ち味を生かすことができなかった。オアー監督も目の前の勝負に勝つために冷静な判断で、選手を入れ替えた。

今大会最後の3位決定戦を終えて、その悔しさを知った池崎が「今後の日本を背負う」橋本に声を掛けた。主力の池崎と池がコートに立ち、橋本がベンチにいるいつもの光景-。

「この日の姿を絶対に忘れるな」

3年後の24年パリ大会で悲願の金メダルを獲得するためには、“未完の大器”の成長が大きなカギとなる。43歳のエースから19歳のエースへ送った熱いメッセージだった。【峯岸佑樹】