東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は30日、東京パラリンピックの選手村内で選手との接触事故が発生後に運行停止となっていた自動運転車「eパレット」について、31日午後3時から運行再開すると発表した。

事故は26日午後2時ごろに起きた。柔道男子81キロ級(視覚障害)代表の北薗新光(30=アルケア)とトヨタ自動車の自動運転車eパレットが、横断歩道で接触した。北薗に外傷はなかったが、転倒した際に頭を打ち脳振とうを起こした可能性があると指摘されていた。その後、北薗は28日の1回戦を欠場した。

組織委によると、eパレットは交差点を右折中に北薗を感知して一度停止した。その後オペレーターが安全確認した上で再度発進したが、当時の様子を映像で見たという担当者は「歩行者が急に交差点の中に侵入し、くるっと旋回した」。車のセンサーが北薗を検知して自動ブレーキが作動させ、オペレーターも慌てて緊急ブレーキを踏んだ。しかし、完全に停止することができず、事故が起きてしまったという。

これを受けて組織委は「信号のない交差点での安全確保は、歩行者、オペレーター、誘導員いずれか個人のみで確保できるものではなく、三位一体でのやり方、仕組みの改善に取り組む必要がある」。選手村内に5つある交差点のうち、メインダイニングなど日頃混雑する場所には誘導員を増やすなどの対策が必要と指摘した。

今後の安全対策として選手団長会議などで選手村内の歩行環境、移動時のルールなどを改めて周知していく。車両が接近した時の通報音の音量アップや搭乗員の増員する。自動運転を維持しつつ、マニュアル操作の領域を増やすとした。組織委の担当者は「原因を究明した上での安全策は、今後東京の街中でも活用したい」と述べた。