義足スプリンターの世界最速の戦いで、銅メダリストが2人誕生した。

追い風0・3メートルだった決勝。ジョニー・ピーコック(28=英国)とヨハネス・フロールス(26=ドイツ)の2人が10秒79。記録に残らない1000分の1秒までも同じ。10秒786。着差なしで、2人が銅メダルという珍しいケースとなった。

2連覇中だったピーコックは中盤から一気に伸びた。19年世界選手権では100メートルと400メートルを世界新で制した両足義足のフロールスは終盤で一気に前との差を縮めた。走り終えると、2人は電光掲示板を見つめていた。天国と地獄の差はない。女神は2人にほほ笑み、一緒に表彰台だ。その結果が表示されると2人は抱き合って喜んだ。

ピーコックは「最後は力が十分に保てなかった」と後半に失速した事を悔やみながら、「メダルを持ち帰ることがうれしい」と話した。フロールスは「とてもハラハラドキドキしたよ」と結果が出るまでの時間を振り返り「とても幸せな気持ちだよ」と笑顔を見せた。

金メダルはドイツのフェリックス・シュトレングで10秒76。銀メダルは10秒78の自己記録を出したシェルマンイシドロ・ギティギティ(コスタリカ)だった。

このクラスではT44(下腿(かたい)部に機能障害)、T62(両足下腿=かたい=切断)、T64(片足下腿切断)の選手が一緒に走る。