テコンドー女子58キロ超級の太田渉子(32=ソフトバンク)は、初戦となった準々決勝でナイモワ(ウズベキスタン)と対戦し、12-37で敗れた。銅メダル獲得を目指し、夕方からの敗者復活戦にまわることとなった。

冬季パラリンピックで06年トリノ大会ではバイアスロン12・5キロ立位で銅メダル、10年バンクーバー大会では、クロスカントリースキー1キロクラシカルスプリント立位で銀メダルを獲得しており、初挑戦の夏で悲願の金メダルは逃した。

国際大会は約2年ぶり、国内を合わせても約1年半ぶりの実戦だった。過去1度対戦して負けた経験のある相手だったが、試合勘に戸惑った部分も大きかった。第1ラウンドから手の長いガードを崩せず、接近戦では連続蹴りで連続ポイントを喫した。「相手の方が体格が良いぶん、蹴りの重さもあった。カバーの上から蹴られて重みで入ってしまった。私はスピードできちんと距離を合わせて勝負していくタイプなので、インパクトも大事だなと思いました」と反省。今大会は得点の入りやすい電子防具だという情報もあったが、対応しきれなかった。

敗者復活戦で3連勝すれば、今大会から初採用された新競技で日本人初のメダルに手が届く。「障害のある左腕でもしっかりとガードをとっていくことと、距離を離れたり縮めたりして足のヒットポイントをずらしていくことをしていきたい。強みである後半の粘りで追いつこうと思ったが逃げ切られてしまった。1ラウンド目の入りが大切だともわかった」。修正点を明確にし、シエル(フランス)との敗者復活1回戦へ気持ちを切り替えた。

太田は先天性左手全指欠損で、山形県尾花沢市に生まれた。小3でスキーを始め、中学時からパラ競技のクロスカントリーやバイアスロンの強化選手としてW杯参戦。06年トリノ大会では日本選手団最年少16歳で出場し、バイアスロンで銅メダル獲得。10年バンクーバーではクロスカントリースキーで銀メダルを得た。

3大会連続出場を果たした14年ソチ大会後、引退を表明。一般企業に勤務しながら、15年からテコンドーを趣味で開始。00年シドニー五輪銅メダルの岡本依子さんからの勧めもあって、18年からは東京パラリンピックを目指して本格的に競技をスタートした。

19年世界選手権(トルコ)では世界ランク1位のイギリス人選手を破るなど、銅メダルを獲得。今大会も表彰台が期待されている。【鎌田直秀】