ボッチャのペア(運動機能障害・脳性まひBC3)で、世界ランキング7位の日本が銀メダルを獲得した。決勝で同4位の韓国に4-4の同点からタイブレークの末に敗れたが、ペアでは初の表彰台。準決勝では同1位ギリシャを5-1で撃破する金星を挙げた。日本はチーム(脳性まひ)でも銅メダルを獲得し、今大会の日本勢は杉村英孝(39)の個人での金を含む3つのメダルを手にした。

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髪形を同じマッシュルームカットでそろえた河本圭亮、高橋和樹、田中恵子のチームワークで接戦に持ち込んだが、あと1歩、金メダルに及ばなかった。準決勝で、世界ランク1位のギリシャを5-1で撃破。河本が「(オンラインでの)リモート合宿でやってきたことが出せている」と確かな手応えも口にしていた。それだけに高橋は「メダルを取れたうれしさもあったが、喜びよりも悔しさがあった」と、唇をかみしめた。

村上光輝監督は日本が快進撃を続けた要因の1つに、コロナ禍を機に増えたコミュニケーションを挙げた。ビデオ通話機能などオンラインを通じて話す機会も増えた。選手の気持ちや置かれた状況などを聞き取り、全員で共有。一体感が生まれた。「コミュニケーションが試合中の失敗の修正にもつながった。選手が話せば話すほど、強くなっている」と分析した。

練習できない分はそれぞれ独自で補った。河本は筋力が徐々に衰える「筋ジストロフィー」を患う。1年延期から、動画投稿サイトで海外選手の試合映像を見て細かく分析し、戦略を練った。「頭の中の引き出しに、たくさん盗んだものを入れています。知識が増えたし、積み重ねたものが出せるようになりました」。

最も障がいが重いクラスのBC3は知名度が低かったが「マッシュルームジャパン」の愛称も付いた。田中は「もっと知ってもらって、もっと選手が増えてほしい」。ボッチャのさらなる盛り上がりを期待した。【近藤由美子】