前回大会覇者の米国との決勝に臨んだ日本は惜敗し、銀メダルとなった。

立ち上がりにリードを奪った日本だが、やがてエンジンが掛かってきた米国追い上げられ、第1クオーター(Q)を18-18の同点で終了。第2Qは追う展開となり27-32で前半を折り返した。後半に入って日本は再びリードを奪い、第4コーナーに入っても優位に立ったが、最後に王者の底力を見せつけられた。

頂点には届かなかったが、価値ある銀メダルだ。準々決勝では18年世界選手権3位のオーストラリアを退け、準決勝では同優勝の英国を撃破。そして決勝では、京谷和幸監督が「日本が1度も勝ったことがない最強チーム」と評する米国を追い詰めた。

開催国枠で3大会ぶりに出場した女子も決勝トーナメントに進出するなど健闘した。また、東京オリンピック(五輪)では5人制女子が旋風を巻き起こし、銀メダルを獲得。3人制も含めると、五輪とパラリンピックの男女6カテゴリーすべてに日本は出場し、うち5カテゴリーで決勝トーナメントへと勝ち進み、2つの銀メダルを手にした。

日本バスケットボール協会で強化担当の東野智弥技術委員長は、「車いすも含めたすべてのカテゴリーが一丸となった成果」と話す。東野氏自身もかつて22年間にわたり、コーチや戦略アドバイザーとして、車いすバスケ代表チームに関わり、及川晋平総監督を支えてきた。

日本車いすバスケットボール連盟の日本代表と、日本バスケットボール協会の日本代表チームは、かねてから交流がある。東野氏のスマートフォンには、男子日本代表エースの八村塁(NBAウィザーズ)と車いすバスケ日本代表エース香西宏昭(NO EXCUSE)が仲良く1枚に収まった写真が大切に残っている。女子日本代表を銀メダルに導いたトム・ホーバス監督が、車いすチームを激励に訪れたこともある。さまざまな交流の積み重ねが、今大会での日本の快進撃につながった。東野氏は「融合の中で、大きなエネルギーが生まれている」とうなずく。

日本バスケ界の進化と団結を感じさせ、TOKYO2020が幕を閉じる。それは新たな時代の幕開けだ。