<クラブワールドカップ:鹿島3-2グアダラハラ>◇準々決勝◇15日◇アルアイン

鹿島アントラーズの強みは、相手、流れ、チーム状況によってカラーを変えられることだ。攻撃で圧倒することも、ひたすら耐えることもできる。グアダラハラ戦がまさにその典型。前半はMFブリスエラのドリブルに苦しみ、失点を重ねてもおかしくない展開だった。そこを最少失点で耐え、後半は中盤をコンパクトに修正し、速いカウンターで崩した。

「ジーコスピリット」が戻りつつあることが大きい。特に後半4分の1点目。ボランチ永木は80メートルをスプリントし、同点弾を入れた。どんな状況でも勝つ。最後まであきらめない。勝利のため、チームのため、労を惜しまない。自分ができることを精いっぱいやる。これこそがジーコイズム。今はメンタルより技術を優先する風潮があるが、大事な試合ではちょっとしたメンタルの充実が結果につながることが多い。

次はレアル。選手個々の能力が高く、世界一のモドリッチはいろんなところに顔を出す、つかみづらい選手。しかし鹿島はしっかりゾーンで守り、選手個人が自分のゾーンにきた選手をつぶす能力がある。試合後の昌子の「レアルに勝つためにきているわけじゃない」とのコメントが、今の鹿島を象徴する。「ジーコスピリット」で武装した今の鹿島を崩すことは容易ではないだろうし、鹿島が世界を驚かせる可能性も決して低くないとみた。(日刊スポーツ評論家)