森保監督が、行き詰まっていた日本をうまく修正した。前半は中へ中へと、中央での勝負が多かった。相手が大人数で網を張る中央へ無理に仕掛け、ボールを取られてカウンターを許す場面が多かったし、失点もした。追加点を与える危機も招いた。

そこで後半、森保監督はサイドを目いっぱい使って、相手の網の目を少し広めた。前半は中に仕掛けていた原口をサイドラインに近い位置でプレーさせた。さらにその外を長友が駆け上がるなど、ワイドな攻撃に切り替えた。サイドチェンジも多くなった。そこからリズムが生まれ、後半15分には逆転できた。

中島が初戦の前にリタイアしたのは痛かった。中島はサイドの選手も使い、自分でサイドに流れたり、中央にも持ち込める選手。試合の流れによって自分で調整できる選手を欠いた分、前半は苦労したのだろう。ただ苦しい試合を監督の手腕で拾ったことは大きい。アジアの厳しい戦いをものにした若い選手たちも、貴重な財産を手にしたはずだ。(日刊スポーツ評論家)