シュートチャンスが少ない試合でも勝ちきる。今季の新潟にはそんな勝負強さが備わってる。14日のアウェー甲府戦。シュート数は相手の10本を下回る6本にとどまったが、ともに02年生まれのMF小見と三戸が少ない決定機を確実に仕留めて、2-1で競り勝った。シュートを打つ回数が少なければ勝つ確率は下がりそうなものだが、今季の新潟はシュート数が10本未満だった試合で7勝5分けと12戦無敗を続ける。

チームがボールを大事にするスタイルを明確に打ち出したのはアルベルト監督が就任した20年。その1年目はシュート10本未満の試合で5勝6分け8敗と黒星先行。昨季も9勝8分け7敗と負け数が多かった。今季のJ2全体を見ても、同条件下では負け越しているチームが多く、新潟だけが唯一負けなしだ。

堅守速攻型のチームなら、こうしたデータが残っても不思議はない。守備を固めてカウンターで仕留める戦い方なら、シュート数ひと桁の試合が多くても勝ち点を積み重ねることはできそう。だが、松橋監督が指揮する今季の新潟は違う。ボールを大事に守りながら敵陣に攻め込む。

今回の高卒2年目の2人に象徴されるようにチームとしての決定力が向上。時間帯によっては我慢強い守備でリードを守り抜く力もある。1-0で逃げ切った8月20日の熊本戦もそうだったが、指揮官は「いつも自分たちのペースでできるわけではない。苦しい中で勝ち点3を取っていくことも目標達成のために必要」と、理想を追い求めつつ現実を直視。戦いの幅を広げてJ1昇格へ突き進む。【石川秀和】

14日の甲府戦で前半18分に先制ゴールを決める小見
14日の甲府戦で前半18分に先制ゴールを決める小見