欧州チャンピオンズリーグ(CL)の準決勝が4月下旬~5月上旬に行われました。決勝戦はリベンジに燃えるリバプールと王者レアル・マドリード。どんな試合になるのか非常に楽しみです。今回はこの裏側の一部分であるお金の部分をのぞいてみたいと思います。

グループリーグは4チームで1つのグループなので、1チームはグループリーグでホーム&アウェーで合計6試合行われます。1ユーロ=138円で計算すると、グループリーグの出場給は1564万ユーロ(約21億5832万円)になります。これはグループリーグに出場することが決まった時点で収入となる分です。現金で20億円入ってくるのはやはり大きいです。グループリーグにおける勝利給は280万ユーロ(約3億8640万円)、引き分け給は93万ユーロ(約1億2834万円)になります。今シーズンのリバプールは6戦全勝で抜けましたので、この時点で23億1840万円稼いだことになり、グループリーグ出場給と合わせると44億7672万円になります。さらに決勝トーナメント1回戦進出給として960万ユーロ(13億2480万円)が支給されますので、グループリーグ突破で58億152万円の収入になります。一方レアル・マドリードは5勝1敗でしたので40億9032万円になります。決勝トーナメント進出給と合わせて54億1512万円(両チームのスカウト陣はおそらくこの時点で50億円ぐらいの選手を来季獲得できると想像しているのではないでしょうか!!)グループリーグで1勝もできずに敗退が決まったチームであっても、実は引き分けると上記の通り1試合あたり1億3000万円ほど分配されますから、これだけでも大きな売り上げになります。スタッフの給与という視点で見ると(経費などはあるかもしれませんが)単純な年俸計算で、1社員年俸600万円とした場合、1億3000万円で10名近くの社員が2年間雇える計算になります。

そして決勝トーナメントですが1回戦を突破すると勝利給として準々決勝進出で1060万ユーロ、準決勝進出で1250万ユーロの勝利給が分配されます。これは日本円でそれぞれ14億6280万円、27億6000万円。ここまで(決勝進出まで)の数字を足すと、リバプール、レアル・マドリードはそれぞれ100億2432万円、96億3792万円の稼ぎになります。さらに優勝賞金が2000万ユーロということなので、日本円で27億6000万円が加算されます(準優勝でも1550万ユーロの分配)。2018年ワールドカップ・ロシア大会の優勝チームへの分配金が総額で3800万ユーロですから、円計算しても約52億4400万円。当然名誉という部分に変えられるものはありませんが、数字面だけで見ると大きな差になります。

実はCLにおいてはこの勝利給以外にさらに2種類の分配金があります。1つは「ヒストリカル・ランキング」という直近の過去10年において収めた成績に準じて配分されるもの。そしてもう1つは「マーケット・プール」と呼ばれているTV放映権料の総額3億30万ユーロ(約414億4140万円)も各参加チームに分配されます。そこに、チケット収入や、グッズ収入、そしてそれぞれのチームのスポンサー特別費用(ここの部分は各チームに全て委ねられている)が付与されます。

ヒストリカル・ランキングは直近のUEFAの発表によりますと、最上位チームがレアル・マドリードで、続いてバイエルン、バルセロナ、チェルシー、アトレティコの順。リバプールは14位だったりします。CL以外のUEFA主催大会の結果などを係数で掛け合わせて算出しておりますが、総額で6億6000ユーロ(828億8280万円)が分配されます。最低でも113万7000ユーロ(1億5690万円)最高で3638ユーロ(52億2044万円)が支給されます。現在のところレアル・マドリードは3638ユーロ(52億2044万円)、リバプールは2159万9000ユーロとなり(29億8066万)となります。

クラブへのマーケットプールの分配金は少し複雑なシステムになっており、明らかにはなっておりません。この分配金抜きで全部足しても、優勝すると130億から140億円近くになるこの大会。現地の報道では分配金は1チーム当たり2000万ユーロ近く(約27億6000万円)にものぼり、さらに近年の成績ボーナスも加わるということですから、勝てば勝つほどいい思いが出来る仕組みです。

優勝すると200億円近い賞金が手に入るわけですが、チケット収入やその他グッズ収入の影響も当然大きいものになります。CLの舞台に立てるかどうかの大きな差は、ビッグクラブにとってみれば経営上の“死活問題”にもなり、小中クラブにとってみれば“一攫千金”の大チャンスになることが分かります。各国のリーグ戦が最終局面を迎えておりますが、来季のCLに参加できるかできないかがクラブの経営に大きく関わり、それはこの夏の補強予算の捻出に直結します。

決勝戦はリバプールのリベンジなるか、それとも寄せ付けずレアル・マドリードが横綱相撲を見せるか、プライスレスな好ゲームを期待したいです。

【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」