欧州チャンピオンズリーグ(CL)の決勝戦を前に前回は優勝チームの総額を調べてみました。優勝賞金である2000万ユーロ(決勝戦に勝つと27億6000万円が賞金となり、準優勝でも1550万ユーロ・20億円前後の賞金)を手にするのは一体どちらのチームか。そんなシーズン・フィナーレを前に今回は日本のチームも参加しているアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の賞金システムについてみてみたいと思います。

2022年大会においては、グループステージの勝利給は5万USドル(約625万円)となっておりました。引き分け給で1万USドル(125万円)、ベスト16進出で10万USドル(1250万円)。浦和レッズは4勝1敗1分けの勝ち点13の2位でグループリーグ突破しておりますので、この時点で20万USドル+1万USドル、そしてベスト16進出で10万USドルの合計31万USドル、つまり3875万円が懐に入ったことになります。横浜Fマリノスは浦和レッズ同様、4勝1敗1分けのグループリーグ首位突破でベスト16入りを決めておりますので同額の31万USドル(3875万円)が入りました。同じくグループリーグ突破を決めたヴィッセル神戸は、同グループにて棄権チームが出たものの、2勝2分けという成績でしたので、22万USドル(2750万円)が分配されました。一方でグループリーグ敗退が決まった川崎フロンターレは3勝1敗2分けでしたがそれでも17万ドル(2125万円)が分配されました。ある・なしで考えますと、非常に大きな賞金と言えるのではないでしょうか。

ここからは別途、次ステージへの進出分配金として次のように設定されています。

準々決勝進出ボーナスが15万USドル(約1870万円)、準決勝進出ボーナスが25万USドル(約3125万円)。決勝進出ボーナスは200万USドル(2億5千万円)、優勝チームはさらに同額の200万USドルの賞金が加算されます。

つまり、グループリーグを全勝で勝ち上がってそのまま優勝すると、グループリーグ6試合全勝突破で30万USドル+10万USドルの40万USドル、準々決勝進出15万USドルに準決勝進出25万USドル、決勝進出200万USドル、優勝賞金200万USドルで合計480万USドル(6億円)が分配されることになります。しかし、AFCの賞金システムには少しカラクリがあるようです。どうやら準優勝・優勝チームの賞金の5%はAFC(アジアサッカー連盟)の取り分になるということで、正確には準優勝チームの賞金は190万ドル(2億3750万円)になり、優勝チームには380万USドル(4億7500万円)の配分になります。おそらくですが、AFCが少しでも多く賞金を見せたかったのでしょう・・・・。

それでも優勝することで5億円近くの賞金が純利益としてチームに入ってくるわけで、それはそれで非常に大きな数字にはなるのですが、前回のこのコーナーのCLの分配金とは大きな差がそこにはあります。当然スポンサーによる金額も違えば多くの部分に差があるのですが、1番の差は放映権料収入がほとんど見込めていない部分になるかと思います。CLの放映権収入には太刀打ちできるものではなく、アジア準決勝・決勝にアジア中の人々が集結するかと言われればそこまでは行かないのが現状になります。より放映権収入を確立させるために、ブランド化という部分も含めてまだまだ時間がかかると想像します。何らかの形でこの放映権ビジネスを大きなものへと育てていくことは、最大の命題とも言えそうです。

大きな差はありますが、優勝すると2000万ユーロ(27億6000万円)近い賞金が動くCL決勝がこの週末に行われます。名誉・栄誉・歴史といったさまざまな部分での栄光が存在しています。歴史に名を刻めるかという大一番。チーム収入に大きな影響があることを熟知している経営首脳陣の表情に注目することで、新たな見方でこの決勝戦を楽しむことができるのではないでしょうか。【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」