今回の南米選手権に向けた日本代表メンバー発表で、やっと東京五輪対策が本格的に動きだしたという印象だ。遅すぎるくらいだ。

五輪代表は予選がないだけに、しびれる試合の経験が足りない。今回はオーバーエージ(OA)の選手を入れて、南米の強豪との真剣勝負、いい機会だ。

今回の南米選手権はテレビの地上波放送がないと聞く。大会後にテレビ関係者に「放送すればよかった」と言わせ、悔しがらせてほしい。最終順位はともかく、金星を挙げるとか、何ゴール奪ったとか、東京五輪が楽しみになるような内容の試合を見せてほしい。

メディアの注目は久保建英に集中する。彼が崩れたら、報道する方も“軸”を失ってしまう。久保はきっちり結果を出すことが求められる。年齢は関係ない。南米には久保レベルの17歳、18歳はたくさんいる。日本はちょっと騒ぎ過ぎだ。

南米選手権である程度の結果を出し、メンバーを固定できる段階にしないといけない。本番まで残り約1年でまだチームの基盤ができていないとしたら、それこそ森保監督にA代表と五輪代表を兼任させた協会の責任が問われる。

せっかくなら、南米選手権前の親善試合から五輪代表メンバー主体で戦えばいい、という意見もあるかもしれない。ただ、現実的には親善試合は興行で、観客動員や視聴率の面も考慮され、人気選手も必要なんだろう。

また、南米選手権は国際Aマッチデーではないから、クラブに派遣義務がない。森保監督が招集したくてもできなかった選手もいたはずだ。この日本サッカー協会とJリーグとの「綱引き」は今に始まったことじゃない。ならば欲しかったのはどの選手か、派遣要請を断ったのはどのクラブか、はっきり表に出したらどうかな? クラブ側も異論があれば出せばいい。衝突が起きればマスコミが動いて、議論になる。忖度(そんたく)ばかりでは前に進まない気がする。