日本はワールドカップ(W杯)メンバー選考直前の2試合で、ターンオーバーを試せるほど、余裕のあるチームか。米国戦からスタメン全員を入れ替えたのが、信じられないね。森保監督は日頃から「みんな素晴らしい選手でレベルは同じ」というが、本当にそう思っているのか。途中からDF吉田やMF遠藤、伊東を投入したのは、スタメンが疲れていたからだけか。負けたくない、勝ちたいからじゃないの?

結果引き分けたけど、事実上負け試合だね。エクアドルは、W杯で戦うコスタリカと似たようなタイプで、同じくらいのレベルだった。守備が強くて、中盤のプレスが効いていて、ワンタッチパスのスピードがある。

前半は特に苦しんだ。攻撃ではパターンが読まれてカットされていた。守備では速いパススピード、ドリブルのスキルに対応できず、プレスをかけられなかった。この光景がW杯のコスタリカ戦で起こるかと思うと、ゾッとするね。

ただ、エクアドルが米国のような弱いチームじゃなかったのは少しの救いだ。この日も楽勝で終わってたら、W杯をなめてかかることもあったからね。米国戦のスタメンをこの日も最初から使って、6人の交代枠で控えメンバーを順に試した方が、W杯前の力試しの意味ではよかった。

米国戦で私は辛口の評論をした。翌日、知り合いから「テレビの解説者も新聞の他の評論家もみんな“日本は良かった”と言ってたけど、どこが不満だったの?」と苦情の電話をもらった。米国は弱いから日本が強く見えただけで、今の実力なら日本はW杯本番では1分け2敗がいいどころじゃないの? 引き分けを勝ちにし、負けを引き分けにしたりするのは、運だったり、メンタルだったり、集中力だったりする。この日の引き分けで、みんな結束してくれることを祈るね。(日刊スポーツ評論家)