得点ランク2位につけるJ2アビスパ福岡のブラジル人FWウェリントン(29)の活躍から目が離せない。記者が取材する際、ピッチサイドで写真撮影も行うがウェリントンにボールが入ると、何か起こるのではないかと期待しながら即ピントを合わせてしまう。

 6月10日の前節千葉戦はスコアレスドローに終わった。だが福岡が首位に立った6月3日の讃岐戦で3戦連発の今季11得点目を決めている。しかも今季8点を奪った得意のヘディングではなく、初の左足ボレー弾だった。「頭じゃない時はうれしいね。頭はストロングだが足は格別」と言う価値ある1発に絶好調さを感じさせられた。ウェリントンは「シーズン中にジャンピングボレーやオーバーヘッドのゴールを決めたい」と言う。決定的な瞬間を追う側としては、ぜひスーパーゴールを決めてほしいと願うばかりだ。

 練習後のクラブハウスでは待ち構えるファンから「ウェリー」と声をかけられる人気者で188センチ、90キロの巨体をかがめ気さくにサインや写真撮影に応じる。活躍の裏には3年目のシーズンを迎える福岡での慣れもあるだろう。だが好成績は本人の努力の成果でもある。今季は「難しいが言葉を覚えればストレートに意思が伝わるので日本語を勉強している。早く覚えたい」と日本語の習得に懸命だ。コミュニケーション向上もプレーに役立てている。

 ただ6月17日の次節名古屋戦(レベスタ)は累積警告で出場停止になる。チーム得点王の欠場はかなり痛い。だが1年でのJ1復帰を目指す福岡にとっては、エースを欠く中で首位を維持できるかの真価が問われる正念場。今こそ、これまでのウェリントンの献身に一丸で応えなければならない。


 ◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球等のカメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。