7月6日、午前8時半の神戸空港。約1000人のサポーターがあと30分でやってくる世界的なストライカーを心待ちにしていた。元ドイツ代表のFWルーカス・ポドルスキ(32)は約30分遅れて同9時35分ごろに小型チャーター機で到着。関西空港からわずかな移動もチャーター機を使い、まるで映画祭のような来日セレモニーだった。

 会場にはレッドカーペットに「WELCOME POLDI」と書かれた顔写真入りの大きな横断幕。全てこの日のために用意されたもので、イベント開催には数百万円がかけられた。それでも各スポンサーの好意があり格安に。クラブ関係者は「Jリーグでここまで歓迎するのは異例のことだと思う」。愛称「ポルディ」ことポドルスキに対する期待の表れだった。

 このイベントに集まったサポーターの中には「ヴィッセル神戸サポ」ではない人も多くいた。海外サッカーが好き、ケルンが好き、アーセナルが好き…。実際にポドルスキを一目見るために足を運び「(神戸の本拠地の)ノエスタには行ったことないけど、ポドルスキが来たことをきっかけに行ってみたい」と話すファンもいた。神戸にとれば新しいファン層の取り込みの第1歩には成功した形となる。

 ちなみに、神戸は今季のホーム観客動員数の目標が「最低2万人」(田中社長)だという。昨季が1万7018人だったため、プラス平均3000人を目指している。だが、シーズン前からポドルスキの加入がうわさされていたり、昨季第2ステージで優勝争いを繰り広げたりと、実は今季最初から動員数は好調をキープ。前半の8試合を終えて1万9995人と既に目標近い数字を記録し、前年に比べた増加率はC大阪や清水、札幌の昇格組に次いで4位となっている。ポルディが加わった後半の伸びに期待がかかる。

 関西の人気クラブG大阪やC大阪に比べるとなかなか練習場の活気はなかった神戸。それでも、今は連日たくさんのサポーターがかけつけている。練習段階から1本のシュートに観客が沸くと、選手のモチベーションも自然と上がる。ポドルスキ本人も「子どもがたくさんいて、うれしかった」と喜んでいた。

 現在神戸は9位。後半戦の巻き返しに向けて、選手、新加入のポドルスキ、元日本代表FWハーフナー、サポーターの一体感が徐々に増してきているように感じる。私たちメディアも盛り上げていくが、実際足を運んで選手を鼓舞するのはサポーター。サポーターの力でどれほど神戸に注目が集まり、熱気が高まっていくのか。すごく楽しみな夏になると思う。【小杉舞】


 ◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を卒業し、14年に大阪本社に入社。1年目の同11月から西日本サッカー担当。担当はG大阪や広島、京都など関西圏のクラブ。U-20W杯韓国大会は現地で取材。甲子園球場での売り子時代に培った体力は自信あり。