鹿島アントラーズのFW金崎夢生(28)が、プレーだけでなく、トークもノリノリだ。12日はアウェー川崎フロンターレ戦(13日、等々力)に向け、茨城・鹿嶋市内で最終調整。練習後には、前節9日の敵地ヴィッセル神戸戦で自身の2得点で逆転勝ちし、首位に立ったことを報じた報道陣に対して「この前はせっかく、いろいろ話したのに、どれも記事があまり面白くなかったよ。話したことを、もっと面白く書くのが記者さんの仕事でしょ」と笑い、車に乗り込んだ。

 チームのソシオ会員イベント企画で名刺を作った際には「意外と人見知りなんです」と明記するなど「自称人見知り」だけに、普段は多くを語らない。だが、前節は獲得オファーを断ったばかりの神戸との直接対決だったこともあり、取材エリアでは「このピッチでどうしても勝たないといけない理由があったので、しっかり勝てて良かった。神戸さんのオファーは正直、すごい魅力的だった。これからの将来のことも聞いて、ひかれることも多かった。最終的には鹿島でプレーすることを決めたけど、しっかりプレーで示す必要があった。この試合に対する気持ち、1つだけではない、いろいろな気持ちがある中で、しっかりサッカー選手としてプレーできたのが良かった」と決断後、初めて心境を語った。新聞各紙は翌日付紙面で、神戸への気持ち、さらには今月末に再開するW杯アジア最終予選での日本代表復帰への思いを含めた2発だったことを報じたが、本人にとっては納得いかなかったようだ。

 川崎F戦でも先発が濃厚だ。チームとしては大岩監督就任後8勝1分けで、アウェー戦も今季10戦負けなし。金崎がゴールを決めれば、24戦無敗の記録も継続中だ。選手が紙面を読んでくれていることはこちらが望んでいることでもある。記者にとっては「面白かったね」がゴールに匹敵する。金崎の「1つだけではない、いろいろな気持ち」を面白く読者の皆さんに伝えるべく、負けられない戦いは続く。

 それとも、記者の士気も高めるエースストライカーの鼓舞? 夢生くん、考えすぎですか? いずれにしても、金崎の言葉の“ラストパス”で、しっかり“ゴール”を決めろというゲキと受け止め、鹿島の強さ、金崎のすごさを伝えたい。【鎌田直秀】



 ◆鎌田直秀(かまだ・なおひで)1975年(昭50)7月8日、水戸市出身。土浦日大-日大時代には軟式野球部所属。98年入社。販売局、編集局整理部を経て、サッカー担当に。相撲担当や、五輪競技担当も経験し、16年11月にサッカー担当復帰。現在はJ1鹿島、J2横浜FCなどを担当。鹿島のスポンサーパーティーで団子をほおばっている際に、FW金崎に「そんなの食べているから太るんだよ。オレはフルーツにするから」と指摘されて以降、少しずつ減量中。