今季のJ2アビスパ福岡は、柏から新加入のDF輪湖直樹(28)がJ1昇格へのキーマンになりそうだ。チーム内で一番遅い1月13日に合流した。だが、準備は万全だ。同20日に福岡市の雁の巣球技場で福岡ユースと行った今年初めての練習試合(35分ハーフ)では、後半途中まで左サイドバック(SB)として出場して、駆けつけたサポーターの視線を集めた。

 90分を通してダッシュを繰り返せる走り屋として、柏で不動のSBを務めたパワーは健在だった。ユース相手とはいえ、思いきりのいい攻め上がりで何度も攻撃の起点となった。「守備のところの要求は他のチームより多く、意識しているところ。守備に重点を置くのが井原さんなので」と、元日本代表DFの井原正巳監督(50)からは、移籍早々“帝王学”をたたき込まれる日々を過ごしている。

 井原監督とは柏時代の14年、ヘッドコーチと選手の間柄で関わった。当時の印象としては「トレーニング中も取り組み方をしっかり見てくれていた印象がある。選手を大事にしてくれていた」と頼れる存在だったことを覚えている。茨城出身で九州に縁もゆかりもない。だが「知っている人がいるのが大きかった。安心できました」と、井原監督の存在も移籍を後押しした要因だった。

 昨季まで同じポジションの主力だったDF亀川諒史(24)が柏に移籍した。だが、その穴は十分に埋まりそうだ。2月3日からは約1週間の宮崎キャンプに入る。チーム合流当初「ポジショニングとかチームのやり方があるんで、少しずつ覚えている段階」と話した「井原イズム」を1日でも早く吸収して献身してもらいたい。【菊川光一】


 ◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市博多区生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在は報道部で主にJリーグなど一般スポーツ、カメラマンとしてプロ野球のソフトバンクなども担当する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。