欧州サッカー界では、今週に入って選手の新型コロナウイルス感染が発表された。MF原口元気(28)も所属するドイツ・ブンデスリーガ2部ハノーバーは11日、DFティモ・ヒュベルス(23)が検査を受け、陽性反応を示したと発表。3日夜のイベント参加の際、陽性と診断された人物と一緒にいたことが判明し、すぐに医師に連絡した上で自宅待機したという。

ヒュベルス本人は無症状ながらも選手、監督、コーチ、スタッフが予防策として検査を受けた。すると12日にはDFヤネス・ホルン(23)の感染も判明。クラブ公式サイトによると感染ルートは別々ながらも2人目の陽性反応を受け、選手、コーチ陣、スタッフ全員の14日間の自宅隔離が決まった。ブンデスの延期か中止の判断に迫られている。

同感染者が急増しているイタリア・セリエAのユベントスでも11日、イタリア代表DFダニエレ・ルガニ(25)が陽性反応を示したと発表された。セリエAで初の感染者となる。こちらも選手本人は無症状だが、感染の不安は広がる。8日にユベントスと対戦したインテルミラノさえも無期限の活動休止を決めた。選手1人の感染が相手チームにまで影響を及ぼす。これで無観客試合も難しくなる。もしブンデスやセリエAではなく、Jリーグだったら…と考えると事態の大きさを痛感する。

新型コロナウイルス感染に関し、世界から厳しい目で見られている日本。しかしながらJリーガーの感染者は出ていない。観客、サポーターの安全確保を第一とした公式戦延期というJリーグの判断が素晴らしかったと言える証明の1つだろう。

11日に欧州チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦第2戦(リバプール-アトレチコ・マドリード)が開催された英国・リバプールは厳戒態勢が敷かれていた。地元のリバプール・エコー紙によると、マドリードから3000人の相手サポーターがリバプールの本拠地アンフールドに到着。満員となる約5万4000人の観客が集まったことも含め、感染拡大の懸念を報じた。

英国でも感染者が500人近くに増加しており、プレミアリーグも何らかの対策を講じなければならない時期が間近に迫っている。欧州各国のリーグで試合延期、無観客試合が多く出ている。約3カ月後に迫った祭典、24チーム出場&欧州12カ国での分散開催となる欧州選手権(6月12日開幕)開催も危惧されている。

感染者が増えている国内だが、JリーグはNPB(日本野球機構)と発足した新型コロナウイルス対策連絡会議を重ね、公式戦再開を模索する。12日には同感染症対策の提言も発表した。サーモメーター設置、公共交通機関の改善など環境整備のハードルは高いものの「必ずやり遂げる」という勇気のメッセージが伝わってくる。

リスクを0に抑えて再開することは難しいだろう。一方で、このまま最小限に抑える対策を整え、沈静化を見極めながら公式戦を再開&運営することができれば、世界からモデルケースとして注目に違いない。いち早く公式戦延期を決め、対策を講じてきたJリーグならば、それができるのではないか。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「現場発」)