若手はもっと心を燃やせ! J1サガン鳥栖の大卒ルーキー6人の奮起が、若い選手が多いチームの戦力底上げ、上位躍進には不可欠だ。

今季当初こそ、主力のけがなどで出場チャンスに恵まれた。しかし、最近は、川井健太監督(40)が「けが人が帰ってきて、(チーム内の)競争の部分で負けている」と感じている厳しい現実にさらされている。

指揮官からは「どういう風に彼らが乗り越えるか楽しみ。武器は持っているので、その武器と安定のところのバランスで、しっかり取り組んでもらいたい」と期待されているのだから、もっと貪欲にアピールして主力を脅かす存在になるべきだ。

結果が問われるプロの世界。新人だからと遠慮はいらないはず。例えば、流通経済大から新加入のMF佐藤響(22)は、大学時代のコーチだった現在京都サンガの曹貴裁監督(チョウ・キジェ、53)からの教えを胸に切磋琢磨(せっさたくま)しているという。リーグ戦は、4試合の途中出場にとどまるが「練習を見ている人が、お金を払ってまで見たいというふうな練習をしろと言われた。それぐらい練習からクオリティー高いものを出していけば、試合にもつながると言われていました」という金言が糧だ。やることは分かっているなら気後れすることはない。実践して高みを目指すしかないではないか。

明大から新加入のFW藤原悠汰(23)も成長して一皮むけてほしい存在だ。すでに公式戦2得点も、最近は出場機会が少なく危機感いっぱいだろう。鳥栖入りで「プレーヤーとしての幅を広げるところだったり、プロの世界に入っての競争だったり、今は成長を感じられている」という。だが、成長するだけで、結果に結びつかなければ険しい。

経営再建中の地方クラブの鳥栖にあって、選手のハングリー精神が活力の要因でもある。かつて、泥臭いプレーで大卒新人ながらチーム得点王に輝いた日本代表FW林大地(24=シントトロイデン)の再来を待ち望む。【菊川光一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市博多区生まれ。福岡大大濠-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部。Jリーグやアマ野球などを担当し、カメラマンも兼務。スポーツ歴は野球、陸上中長距離。170センチ、61キロ。血液型A。