難しい時代になったと思う。日本国内で、新型コロナウイルスの感染拡大が進む。

Jリーグでも連日のように、各クラブから陽性者の発表がある。4日には、6日に予定していたリーグ戦・アビスパ福岡-ガンバ大阪が中止となった。理由は福岡のトップチームの選手、スタッフ複数名が、新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受け、エントリーで必要な13人以上を確保出来ないからという。

そんな発表を見て、担当する川崎フロンターレの鬼木監督の言葉を思い出した。7月30日。リーグ戦・浦和レッズ戦。敵地で行われた一戦では、最大7人の控えに、5人しか入っていなかった。しかも、その内訳はGK3人、フィールドプレーヤー2人。異例の事態だった。後半途中に、サブのフィールドプレーヤー2人を投入。ビブスを着た控えGK3人は、最後までベンチ横でアップを繰り返すなど、あらゆる事態に備えていたが、出番はなかった。試合は1-3で敗北。試合後の鬼木監督の表情は、いつにも増して渋かった。

鬼木監督 勝って話せたら良かったけど。ルールに沿って覚悟を持ってやっている。自分たちはGKを(3人)サブに入れてたりしている。簡単に(試合が)延期になるのかなという思いは当然ある。問題提起の試合になるかもしれない。

そう言うのも無理はなかった。クラブは7月6日サガン鳥栖戦、同16日名古屋グランパス戦が、2試合ともに、相手側の新型コロナウイルスの影響で、中止となった。名古屋に関しては、保健所の指導を誤認しての中止だった。その後、川崎Fは同28、29日の2日間で9人のトップチーム関係者の陽性者が判明。選手のやりくりが難しい中でも、浦和戦に臨んでいた。スタメン、控えに計4人のGKを入れて。後日、行われたオンライン取材。鬼木監督の言葉は、やはり印象的だった。

鬼木監督 自分たちが初めて、こういう状況になって、簡単にこの人数がそろわないのかな? という思いもある。

Jリーグは、GK1人を含む13人以上が出場可能な場合、試合を行う規則を設けている。ただ、コロナ禍で、人数が思うようにそろわない。さらには連日の猛暑で、連戦となる選手の疲労は計り知れない。13人。こんな時代だからこそ、見直す必要もあるのでは、とも思う。だからこそ、埼玉スタジアムでの浦和戦は印象的な試合だった。負けはした。ただ、胸を張っていいと思う。ルールに沿って、覚悟を持って、戦ったのだから。【栗田尚樹】

7月30日浦和対川崎F 後半、川崎Fサブメンバーの、左から丹野、早坂、安藤はベンチ横で最後まで声援を送る
7月30日浦和対川崎F 後半、川崎Fサブメンバーの、左から丹野、早坂、安藤はベンチ横で最後まで声援を送る
7月30日浦和対川崎F 1-3で敗れ、サポーターに一礼する川崎Fイレブン
7月30日浦和対川崎F 1-3で敗れ、サポーターに一礼する川崎Fイレブン