J2東京ヴェルディは、4日のベガルタ仙台戦(味の素スタジアム)において、通算8回目となる「Green Heart Project」を開催した。
この活動は「こころの病」をはじめとする、さまざまな障がいと向き合う方々をスポーツの力でサポートすることにより、就労支援、社会復帰をアシストするもの。これまでもスポーツプログラム・就労体験・試合観戦がセットになった味の素スタジアムでのアクティビティなどが行われてきた。
今回の「Green Heart Project」では就労支援プログラムでは初めてとなる「販売」を行った。販売したのは渋谷区の就労支援事業所アトリエ福花の方々がデザインしたTシャツ。胸の「GREEN HEART」のロゴには、渋谷区で働く障がいのある方々の描いた文字からデザインされた「シブヤフォント」が使用されている。
この日の参加者は、就労支援体験参加者55人に加え、同伴者、協賛のヤンセンファーマのサポートスタッフらを合わせると103人にものぼった。55人の参加者たちは楽しそうにTシャツを販売し、実際に商品を売ってお金を得るという貴重な体験を得ていた。
今回の「Green Heart Project」にも前回に引き続きクラブOBの元日本代表MF北沢豪氏(54)がサプライズで登場。「去年は参加者に不安そうな顔もあったけど、そういうものが取り除かれてきて、自分たちも(東京Vの)仲間だっていう思いを持った中での活動につながっている。見ていて分かります」と参加者たちの笑顔に目を細めた。その北沢氏に「Green Heart Project」の活動の意義などを聞いた。
-この活動を東京Vがやる意味は?
北沢 (Jクラブにとって)地域に向けた取り組みっていうのはすごく重要であって。そこでやることにクラブの存在価値みたいなものがある。ここ数年、活動しながら(地域社会と)互いに理解を深めてきた。それが日常になってきた。
-北沢さん自身、障がい者をサポートする活動などを何年も続けてきたが、どういう思いで続けているのか?
北沢 (障がい者支援に加えて)僕は日本がワールドカップで優勝するためにっていうテーマで動いている。当たり前のようにクラブが地域に仲間を増やす。サッカーへの関心を増やし、その地域の文化を築き上げていく。そうするとサッカーっていうだけのくくりじゃなくなってくる。
-それがW杯制覇につながる?
北沢 やっぱりW杯で優勝したアルゼンチンとかフランスとか、サッカーが国民行事じゃないですか。そうなるためには、いろんな関わりを、サッカーを通して行える、そういうふうにならないと。僕は障がい者だからっていうことだけじゃなくて「誰もが」っていう目線で発想している。そう考えると、障がい者の人たちの日常にサッカーの環境がないということもサッカーの定義として違うと思うし、途上国なんかで貧困で生まれてきたからサッカーができないっていうのもおかしい。
-すべての人が平等にスポーツに関わる環境があることが大事だと
北沢 東京パラリンピックがあったのが大きなフックになってると思うし、2025年には今度はデフリンピック(デフ+オリンピック。Deaf=耳が聞こえないの意で、「ろう者のためのオリンピック」)が東京で行われる。関心を持って、同じスポーツとして見てもらえるような国に、日本人のマインドから考えたら、なれるんじゃないかなと僕は思ってます。
-そういうものがすべてW杯で頂点にたどり着くことにつながってくる?
北沢 そういうことも当たり前にならないと優勝できないと思う。だって他の国とかそうですから。障がい者への目線だって、ドイツでこないだ知的障害のワールドカップ、世界大会があったけど、お客さんは満員だった。アンプティサッカー(主に上肢または下肢の切断障がいを持った人々により行われるサッカー。日常の生活やリハビリ医療目的で使用しているクラッチ=つえで競技を行う)の決勝をこないだトルコでやったけど、ガラタサライのスタジアムが満員ですよ。
-なぜみんなスタジアムに障がい者スポーツを観戦に訪れるのか?
北沢 同じスポーツだし、応援する側の役割みたいなものが分かっているんです。そういった雰囲気作ってあげると、すごいパフォーマンスが発揮されるっていうことが分かっている。だからみんな見に行って、なおかつそのお金(入場料)が何に使われるか分かっているからお金を使ってくれる。支援なんです。ただ見に行く、お金が高い、安いっていう問題じゃなくて。そういうのが日本でも当たり前になってくると、スポーツが本当に社会の役に立っているものになると思う。
北沢氏の話は障がい者支援から、日本のW杯優勝、障がい者だけでなくすべての人々が平等にスポーツをプレーできる環境についてなど、多岐にわたった。そしてそれらを実現するために、今後も地域と一緒になって「Green Heart Project」の活動は継続的に行われていく。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)




