初の8強入りを決めた東海大仰星(大阪)が、同校野球部OBのレッドソックス上原浩治投手のような雑草魂を胸に、初の国立切符を狙う。25人の登録メンバー中、7人がJリーグのジュニアユース出身だが、ユースに昇格できなかった無名軍団。今日5日の準々決勝(フクアリ)で強豪星稜と激突する。学校のグラウンドは強豪ラグビー部との併用で、恵まれた練習環境ではないが、花園出場を逃した「ラグビー部の分も頑張ろう」が合言葉だ。

 大阪の無名軍団が雑草魂を胸に、強豪星稜に挑む。25人の登録メンバー中、7人がJリーグのジュニアユース出身。プロ入り選手はおろか、世代別日本代表候補経験のある選手もゼロで、大阪府予選でも優勝候補に名前が挙がらなかった。G大阪門真ジュニアユース出身の主将MF万は「僕たちは下からのし上がってきたという思いはある」。同校OBのレッドソックスの上原投手が自分自身を雑草にたとえた有名な言葉「雑草魂」。雑草のようなたくましさで今大会を勝ち進んできた。

 多くのサッカー強豪高が専用グラウンドを持つ中、東海大仰星は学校のグラウンドの半面ずつをラグビー部と併用。「グラウンド全体を使えるのは試合の時だけ」(中務監督)と、決して恵まれた環境ではない。4日の練習も節約を兼ね、都内の宿舎近くの都立公園でフットサルを楽しむグループの横で体を動かした。

 2度の全国制覇を達成し、昨年度全国大会準Vのラグビー部と「ともに年を越そう」が合言葉だった。しかしラグビー部は全国切符をつかむことができなかった。練習中には互いのエリアにサッカーボールとラグビーボールが飛び交うが、両クラブの仲は良く、ラグビー部の主将からも「俺たちの分も頑張ってくれ!」とメッセージが届いた。宿舎のミーティングルームには、ラグビー部が府予選決勝で敗れた時の写真が飾られている。俺たちがラグビー部の分まで-。雑草軍団が初の国立切符をつかむ。【福岡吉央】