<高校サッカー:桐光学園2-1作陽>◇5日◇準々決勝◇ニッパ球

 作陽(岡山)にとって悪夢のロスタイムとなった。PK戦を想定してGKを身長173センチの太田から186センチの末藤に代えた直後、ロングスローのこぼれ球から決勝点を奪われた。最初のプレーで反応した末藤の手先を、ボールはすり抜けていった。策士の野村雅之監督(46)は「時間を考えたらキーパーを代えるのはあのタイミングしかなかった。トライした結果。トータルで判断した僕のミス」と自らの采配を責めた。2年生の末藤は「最後のプレーは覚えてない。3年生からは『来年は国立へ行ってくれ』と言われました」と言葉少なだった。

 同点に追いつくゴールを決めたMF永松は「最後まで集中力がもたなかった。キーパーが代わりPKへと気が抜けたのかもしれない」。桐光はロングスローがあり、ゴール前に放り込んでくることも分かっていた。それでも策をうち勝負に出た。誰も責めることが出来ない結果に、名将は「たら、れば、ではなく自分なりのストーリーを描いていた。選手たちはこの1カ月でよく成長してくれた。いい内容、いいチームだったと思う」。拮抗(きっこう)した好ゲームを見せた選手たちに、目を細めた。【高橋悟史】