第91回全国高校サッカー選手権大会は12日に再開する。東京・国立競技場で行われる準決勝を前に、星稜(石川)は9日、静岡県内で異例の2部練習を行った。準決勝の試合時間はこれまでの80分から、90分へと延びる。また芝丈の長いことが予測される国立のピッチを想定してのハードメニュー。鵬翔(宮崎)戦へ向けて準備に余念がない。

 星稜の練習が終わった頃、日はとっぷりと暮れていた。準決勝3日前にハードなメニューを消化した。午前中の2時間は人工芝のグラウンドで、セットプレーや攻撃のビルドアップなど戦術確認とシュート練習を入念に行った。昼食を挟んだ午後は天然芝のグラウンドに移動。300メートルを1分5秒で走り休憩を1分入れるインターバル走を8セット。その後は、ピッチの縦を短くした紅白戦、最後の15分はフルコートの紅白戦と午後の2時間はさらに負荷をかけた。

 河崎護監督(53)は「合宿ではいつもやっていること。プロの選手じゃないんだから、これくらいは大丈夫」と話した。特に午後のメニューには明確な意図があった。「初戦で試合終盤に足をつる選手がいた。ましてや国立の芝はからみつくような感じだし、ふくらはぎに負担がかかる。だから今日のうちに、しっかりとやっておきたかった」。

 紅白戦でも怒号が飛んだ。準々決勝の東海大仰星戦でピンチを招いたのと同じ場面になれば試合を止めて細かく指示した。人工芝グラウンドの使用料は1時間5000円。天然芝は同1万6000円。3倍の料金がかかっても万全を期したかった。

 星稜イレブンは5日に準々決勝を勝った後、6日に地元へ戻った。7日は約3時間の練習。8日の始業式に出席した後、静岡に移動し夕方に練習。今年の大会は日程上、前回から中6日の間隔があく。始業式には地元テレビ局も多数取材に訪れた。周囲は騒がしくなる。身体面以上に、1度緩んだ精神面を引き締める意図もあった。10、11日の練習は2時間の調整メニューに移行し、疲労を回復して国立決戦へ挑む。

 本田圭佑(CSKAモスクワ)を擁した04年度大会以来、石川県勢の最高記録に並んだ。「平常心と積極性を忘れず、やることをクリアにして挑みたい」。富士の麓で着々と態勢を整えている。【高橋悟史】