<高校サッカー:京都橘3-0桐光学園>◇準決勝◇12日◇国立

 何もできなかった。16大会ぶりの決勝進出を逃した桐光学園(神奈川)イレブンは試合後、国立のピッチにぼうぜんと立ち尽くした。クリアミスから3失点。「個々の能力が高くはないけど、組織を形にできる集団だった。今日のゲームは残念」。総合力には自信を持っていた佐熊監督も悔しさをにじませた。

 昨年3月に行ったミーティングが、組織力を強固なものに変えた。新チーム結成直後は、自分勝手なプレーをする主力組と消極的な控え組に二分化。双方から陰口も聞こえてきた。危機感を覚えたMF佐藤主将は全員に言った。「お互いの嫌な部分を全部吐き出そう」。すると「何でお前はいつもふてくされた態度で練習をしてるんだ」「お前のきつい言い方が嫌いなんだよ」とせきを切ったように“罵声”が飛び交った。同時にわだかまりはスッキリと消えた。

 結束の強まったチームは高校総体8強、プリンスリーグ関東1部優勝と結果を残した。だが目標の選手権は4強どまり。攻撃の核を担ったMF松井は「後輩には国立で勝ってほしい」と夢を託した。【湯浅知彦】