【ブルージュ(ベルギー)15日】日本(FIFAランク44位)が強豪ベルギー(同5位)との国際親善試合に0-1で敗れた。ブラジル戦との欧州遠征を2連敗で終えたが、4日前の同戦から守備面が改善。強豪相手に耐え、7カ月後に迫ったW杯ロシア大会へ、ある程度の手応えを得た。12月には国内組だけで東アジアE-1選手権(味スタ)に出場し、北朝鮮と中国、韓国との3試合をこなす。

 ハリルホジッチ監督は会見場で瓶に入った水の栓を抜き、ごくりとやった。「いい結果を求めて戦ったので残念だが、ロッカー室で、君たちは大きなライオンを倒すところまでいったぞと祝福しました。次はもっといいところまでいく」と手応えを強調した。

 大黒柱のE・アザールもベンチ外だったベルギーが「ライオン」かどうかは別にして、1失点したが、それ以上かみ付かせない粘りだけは見せた。「このチームに、ものすごく可能性を感じた。守備はブロックを作れば、どんなチームからもボールが奪えると証明できた」。指揮官はどこまでも自信たっぷりだった。

 ほぼ何もできず、守備もチグハグだったブラジル戦から中3日で修正してきた。ひょう降って守備堅くなる-。アクシデント続きだったベルギーで、ひょうが降り練習を途中で切り上げた2日前の練習内容に危機感を抱いた選手たちは、守備の共通理解を持つため、連夜ホテルで自発的に話し合った。この2試合で存在感を示した槙野は「選手同士でいろいろと意見をぶつけあって、今日の試合を迎えた」と言う。

 強固なブロックを作って左右のFWも下がって構えて待つ場面と、前から激しくプレスを掛けボールを奪う局面を、共通理解のもとうまく使い分けた。ブラジル戦で尻に火が付き、指揮官が求め、日本人に足りないと指摘され続けた「コミュニケーション」で選手が成長をみせた。

 ただ、仕留める攻撃は手つかずというか、ほぼ運任せ。ベルギー戦も絶好機をFW杉本が決めきれなかった。W杯でも引き分けは見込めても、勝利のイメージが湧いてこない。時間はない。指揮官は「6月に準備が始まるわけではない。今日から6月まで全部合宿。自分たちのクラブでパフォーマンス、個人的な部分を上げてほしい」と言い、遠征を締めくくった。【八反誠】